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ダブルトップギター、ラティスギターの考察を通じ、ギターに必要な音量に関して考える。

クラシックギターを弾く人にとって、「音量」というのは悩ましい問題で、さらにそれはギターの選択にも関わる、避けて通れない問題です。今日は、ダブルトップやラティスと言った新型ギターの考察を通じて、クラシックギターに必要な音量について考えてみたいと思います。

ダブルトップギターを初めて触った
先日、用事があって外出したついでに島村楽器に行く機会を得、そこでアストリアス ダブルトップを触らせてもらいました。これが、確かに鳴るんです。パーンとはじけるような感じ。バーンでもドーンでもなく、パーンね。ダブルトップに関しては上記アストリアスのサイトを参照いただければと思います。弦の張力を支える強度と、表面板の振動という相反する課題に、ハニカム構造と言う新しい技術で応えた意欲作です。ハニカム構造を採用することで、強度を保ったまま表面板を軽くすることができ、結果表面板が振動し音が大きくなる、という原理です。

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クラシックギターの魅力 ~消えゆく音の美しさ~

※2019/5/24 再投稿※
今日は会社で飲み会がありました。ブログの更新準備が間に合わなかったため、過去記事の再投稿とさせていただきます。ブログネタになりそうなものを一覧で管理、準備している中で、酔っ払った頭でも問題なさそうなのがこれでした\(^o^)/ とか言ってますが、これはギターの音について語る上で、外すことのできない大切な観点だと思っています。
※追記終了※



少し前の話になりますが、テレビ朝日系列「題名のない音楽会」の1月30日の放送で武満徹の特集が放送されていました。タイトルは、「日本の巨匠 武満徹~音が沈黙と測りあうとき」でした。

武満徹さんは日本を代表する作曲家で(1996年に逝去されています)、クラシックギタリストにとっても大変重要な楽曲を作・編曲もなさっています。

武満徹さんの音楽を評して、指揮者の佐渡裕さんは「耳を澄ましたくなる。音が消えていくまで耳を傾けていたくなる」と語っておられました。また、作曲家でかつては武満徹さんのアシスタントをされていたという池辺晋一郎さんは、「音が消えた後にもテンションがある。書道の世界では、文字の黒い部分が大切なだけでなく、文字がない余白の部分も大切。それと似た感覚」と述べられていました。


これは、クラシックギターを語る際にもかなり重要な感覚です。と言うのも、クラシックギターの特徴として、発した音がその瞬間から減衰を始めることが上げられるからです。クラシックギターでは、一度出してしまった音を持続させることは一切できません。それに対してバイオリンのような擦弦楽器や息で演奏する管楽器は、一度出した音を伸ばすことだけでなく、強めていくことさえできます。ピアノは本体の中の弦をハンマーで叩いて音を出しますが、音を持続するための長音ペダルを使用することである程度音の長さをコントロールできます。このように他の楽器と比較すると、クラシックギターの音を持続させられない特性は、欠点のように思われます。

しかし、この点はクラシックギターの短所であると同時に、最大の魅力なのです。

人気の若手クラシックギタリスト大萩康司さんは、昔テレビのインタビューでそのものずばり「弾いた音が消えていくところがギターの最大の魅力だ」と語っていました。世界最高のギタリストの一人ジュリアン・ブリームさんは、「クラシックギターの一番美しいところは消えていく音の後ろ姿だ」と表現したそうです(残念ながら、また聞きです)。また、松下隆二先生は、「他の楽器では練習しないと得られない美しい減衰が、クラシックギターでは最初から誰でも出すことができる」と言う言い方でクラシックギターの音の魅力を語っておられました。第一線で活躍されるギタリストの方は、自身の扱う楽器の特性を明確に理解した上で、それを長所と捉えて演奏されているんですね。

また、このような観点から考えると、武満徹さんの楽曲がクラシックギターにとって重要なレパートリーとなるのも納得がいきます。消えゆく音の美しさを表現した曲を、消えゆく音をもっとも美しく響かせる楽器で演奏する。素晴らしい組み合わせですね。


ともすれば、派手な曲や分かりやすい演出が受けやすい世の中ですが、、

「消えゆく音に耳を澄ませ、沈黙と測りあう」

そんな気持ちを忘れず、奥の深い演奏を心がけたいものです。

[手工ギター紹介] 野辺雅史ギター

※2019/5/22 追記再投稿※
私が今主に使用しているギターは、この記事を投稿した当時から今も変わらず、野辺ギターです。正確には、野辺雅史さんのギターです。お父様の野辺正二さんも、すでに他界されていますが有名なギター製作家であられたため、単に野辺ギターと言うと混同されることも多いですが、私のは息子さんのギターですね。

その特徴は、下記元記事にもあるように倍音成分の少なさで、その結果として和音の分離性がよく、また遠達性にも優れていると感じています。「あしゃお君の演奏を聞いて野辺ギターを欲しいという人が何人もいるんだから、自分の音に自信持ちなさいよ」と私の師匠猪居信之先生がよく言ってくださります。お世辞とは言え嬉しいなぁ、と話半分で受け取っていましたが、先日、本当に「あしゃおさんの演奏を聞いて野辺ギターを買いました」という方に直接お話を伺うことができて、これはちょっと、本当に、だいぶめっちゃ嬉しかったですね!(どないやねん)

ギターが持ち手を育て、持ち手がギターを育てる。そんな好循環を今後も続けていけたらなぁ、と思っています。
ちなみに、私が張っているのはプロアルテ ノーマルテンションです。これまで、ドーガル社ディアマンテ ノーマルや、サバレス社ニュークリスタル・カンティーガなども試してみましたが、私の野辺ギター+私の弾き方とはあまり相性がよくなく、結局プロアルテを使用しています。


※以下元記事となります※

私が今使用しているギターは、野辺雅史さんの2004年製作楽器です。

それまで使っていた桜井ギターは、大きないい音がするのですが、逆に繊細さには欠けるところがあって気になっていました。よく言うと「調子が悪くてもそれなりの音を出してくれる」のですが、悪く言うと「音を出したくないときも出てしまう」と言う感じです。どんなときでも桜井ギターの音を響かせてくれて、弾き手や弾き方を選ばないところがあったのです。

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クラシックギターの特徴とは何か

先日、アコースティックギターやエレキギターを演奏する後輩と話す機会があり、その時彼に「アコギとクラギの1番の違いを聞かれたら、なんと答えますか」と聞かれました。

難しく悩ましい質問ですね。

少し悩みましたが、私の答えはこうです。「1つの音符にどれだけ真剣に向き合うか」

エレキ、アコギとクラギ。例えばネックの太さが違います。使用する弦の素材が異なります。音色が違います。では、そのどれがが決定的な違いなのか。

実は、そういったものは「結果として」の違いに過ぎないのではないか、と思います。その根本にあるのは、どれだけ楽譜に向き合うか、この楽譜になった必然性にいかに想いを馳せ、それを実現するか、なのではないかと。

ある和音をその構成にした理由、このテーマを1回目と2回目で微妙に変更した根拠。そう言ったことに気を配れば、それに応える方法として、もしかしたらガットギターよりもアコースティックギターの方が適していることもあるのでしょう。

ジャズのような即興演奏や、演奏者の好みに委ねられるコードネームに従ったストローク。そう言った、偶発的要素に魅力を感じるか。それとも、1つのオタマジャクシにつながる必然性に美を見出すのか。この2つの姿勢に、優劣も対立もありません。けれども、クラシックギターを続けるには後者を理解するメンタルが必要になるのではないか、と私は感じます。

もちろん、楽譜に内在する必然性は、演奏の偶発性を否定するものでは一切ありません。むしろ、「4分33秒」で有名なジョン・ケージなどが目指した世界は、舞台演奏を行う者はみな敬意を払って向き合い方を考えなければならない命題である、とすら思います。

それでもなお、楽譜と作曲家、あるいは編曲家にとことん向き合う真摯さ、それこそが、クラシックギタリストをクラシックギタリストたらしめる重要な要素なのではないか。そのように思います。

これからの自分のギター人生に、自戒と期待をこめて。麻尾

ギター調整

私は野辺雅史さんの手工ギターを使用しています。野辺さんは埼玉県に工房を構えられてますが、定期的に関西にも来られています。先月私の通っている猪居ギター教室にも顔を出してくださったので、調整していただくためにギターを持参しお会いしてきました。

私がこのギターを購入したのは2007年で、ちょうど10年になります。フレットの劣化などもあり、10年はちょうどいいタイミングかなと言うのもあって一度工房に持ち帰っていただき全体的な修理をしていただきました。そのときの忙しさにもよると思いますが、今回は約一週間で修理と宅配まで行っていただきました。

届いたギターを開けるときはなかなかドキドキしましたね。ケースを開けると、フレットはピカピカ!で見た目が綺麗に。弾いてみると、全体的に音がすっきりして、また高音フレットが弾きやすくなりました。ずっと同じギターを使用していると、緩やかな経年劣化には気づきにくいものですね。今回思い切って調整をしていただいてよかったなと思います。購入後どのくらい経てば、と言う明確なラインはないかと思いますが、5年/10年とある程度の年月を経た楽器を使用している皆様には調整をお勧めできますね。

お会いしたときには、ギター制作を常に進化させようと色々な挑戦をしてらっしゃる話や、材料の確保が年々難しくなってきている話など、興味深い話を聞かせていただくことができました。また、野辺さんがお持ちになっていた新作ギターを触らせてもらい、非常にいい音がなるため欲しくなっちゃいました。今のギターを使い始めてからおそらく初めて?の浮気心です。。w 同じ製作家だからセーフ??