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キャリアアンカー

最近、キャリアアンカーと言う手法によりこれまでのキャリアの振り返りを行っています。

これまで、流れ流され生きてきたとの自覚が強かった私でして、30も半ばを過ぎてようやく自分の道を自分で選ぶ覚悟を持とうと試行錯誤しているのです。

しかし、流れ流されとは言うもののの、インタビュアーに引き出されるままに言葉を重ねていくと、案外節目の考えに関して思い出すことが多く驚きます。

若いなりにこんなことも考えたことあったな、とか。そう言えばこんな夢を就活で語ったな、とか。

いい悪い、ただしい誤っていると言う尺度では測ることのできない問題です、時間をかけながら少しずつ整理したいと思います。

整理するに当たっては、言葉にする、それも人に説明することの働きを実感します。悩んだときは、誰かに聞いてもらうことをもう少し活かしていきたい、と思いました。

雑感ですが、以上

FIREFLY

FIREFLY, 本多孝好著 MOMENT (集英社文庫)に収録

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死ぬ前にひとつ願いが叶うとしたら・・・・・。病院でバイトをする大学生の「僕」。ある末期患者の願いを叶えた事から、彼の元には患者たちの最後の願いが寄せられるようになる。
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6月、梅雨の季節ですね。じめじめしてあまり好きではない季節ですが、この季節の楽しみがあります。それは蛍です。今年も、妻の実家へ蛍を見にやって来ました。

妻の実家は自然の豊かなところにあり、この時期は少し歩いたところの川沿いで、綺麗な蛍を見ることができます。

蛍と言うと思い出す小説が2つあります。1つは、宮本輝の芥川賞受賞作の「螢川」。そしてもう1つが、本多孝好による「FIREFLY」です。

螢川は、蛍と言う可憐で繊細な存在が大群で現れ、圧倒的な迫力と生命力で描かれるラストが印象的です。生と死、友情と恋心、そのほの暗い語りが最後にたどり着く情景は、読んでみないとわからない凄みを持っています。

対して、FIREFLY は、か細く舞うその緑の光に、登場人物たちの思いが乗せられます。

蛍に亡くなった伴侶を重ねる老人。蛍は、亡き故人の想いを運ぶ象徴として描かれます。亡き人の想いが蛍となって現れるのか、それとも亡き人に会いたいという想いが蛍に故人の影を見つけ出すのか。普通に考えられば後者でしょう。しかし、それだけで済ませられない感傷と余韻が、むしろ会いに来て欲しいという願いすらこの物語には散りばめられているように思います。

かのピーター・ドラッカーは、「何をもって憧えられたいか」と言う言葉を残しました。これは、自己実現や社会貢献と言ったものと結びつけて考えられかも知れません。しかし、そんな大それたものでなくとも、誰しも根源には承認欲求を持っているのではないでしょうか。

覚えていて、忘れないで。思い出して。そんなささやかな思いが、胸に響きます。




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「見て欲しかったのよ。私のこと。上田早苗っていう女のこと。昔はどんな学生だったのか、どんな会社へ行ってたのか、どんな男と付き合ってたのか、そのあとはどんなところで働いてたのか。ざっとでいいから、一通り見て欲しかったの」
「どうして?」
「どうしてかな。よくわからない」

光が上田さんの髪に止まった。気づかずに上田さんは続けた。
「ただ、もしこれから何年も何年も時が経って、もし今年と同じような夏がきたら、君はきっと私のことを思い出す」
「思い出さないですよ」と僕は言った。「僕はそんなに優しくない」
「思い出すわよ」と上田さんの声が柔らかに言った。「君はそれほど利口じゃない」
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今日の晩は蛍を見て、この物語のことや会いたい人、会えない人の事、色々の事に想いを馳せてこようと思います。

ところで、この「FIREFLY」には、ここには書いていない簡単な謎もあって、物語の最後にそれが明かされる仕掛けになっています。「こんなの」「ずるい」とおもわず呟いてしまいます。上田さん、こんなのずるいよ。

人の最期を看取る、と言う題材ではあり、MOMENT と言う本自体は読む人を選ぶ側面があるかもしれません。それでもこのFIREFLY は傑作。この一作のためだけでも買う価値がある、と強く思います。