2020/06/28
「第三の場所」を作る。趣味を勧める本当の理由
一九八〇年代に入って、アメリカは価値観の断片化が進んだ結果、過剰なハイテンション社会になりました。職場では競争のプレッシャーが強く、家庭でもいろいろな問題があります。そうした人々は、職場とも家庭とも異なる「第三の場所」を欲しているのではないか、というのがシュルツさん(※)の洞察でした。ドイツのビアガーデンやイギリスのパブ、フランスやイタリアのカフェのように、ヨーロッパには「人々が安心して集える避難場所」(a safe harbor for people to go)が確立していますが、アメリカにはそうした場所は希薄でした。つまり、コーヒーを売るのではなく、くつろいだ雰囲気の中でテンションを下げるという経験なり文化を売るというのがスターバックスのコンセプトで、コーヒーそのものはそうした経験を提供する手段であるという考え方です。
ストーリーとしての競争戦略 楠木建(東洋経済) P268
※ハワード・シュルツ、スターバックスの元オーナー、元CEO
2011年にビジネス書大賞を受賞した名著「ストーリーとしての競争戦略」に出てくる、スターバックスコーヒーのコンセプトに関する記述です。私は元々実はスターバックスコーヒーにあまり興味がなかったんですよね、あんなところおしゃれな陽キャの行くとこやろ、てなもんで(笑)。けれどこの本を読んでからそのコンセプトのファンになり、頻繁に足を運ぶようになりました。通勤の乗換駅に一店舗、家からドライブがてら車で10分のところに一店舗、さらには車でギター教室に行く途中にさらにもう一店舗、と出不精な私でも通いやすい立地にあるというのが最大の理由ではありますけれど・・(笑)。