fc2ブログ
                        

舞台での度忘れに備える、確実な暗譜のための練習法

久しぶりに、真面目な演奏ヒント記事です。舞台演奏での度忘れに備える方法。たった3ステップの簡単な方法ですが、実際にやるには訓練と根気がいります。しかし、その労力に見合うだけの絶大な効果があります。


①暗譜する
まず暗譜しないと度忘れすることもできません。頑張って覚えましょう。

②頭の中で演奏する
暗譜ができたら、今度はギターを持たずに頭の中だけで弾いてください。その時、左手の押さえだけでなく、右手の撥弦の動きも想定します。指の動きでなんとなく弾くのではなく、記憶から全ての動きを思い出すのです。曖昧になるところは、暗譜できていないところなので、改めて覚えます。これができるようになれば、次のステップへ進みます。

③ギターを演奏しながら、弾いている箇所の次のフレーズを思い浮かべる
最後のステップです。ここでは実際にギターを持って演奏します。ただしその際に、「いま演奏している箇所」の「1つ先のフレーズ」を頭の中で思い浮かべるようにします。この「頭の中で思い浮かべる」内容は、②で練習した頭の中で演奏している内容です。例えば1小節目を弾いているなら、2小節目のフレーズと運指を頭の中に思い浮かべる。1小節先が難しければ、1音先でも構わないので、『今弾いているとこの少し先を思い浮かべる』訓練をできる範囲からやってみてください。これができるようになれば、演奏を指の記憶に頼る必要がなくなるので、安定した演奏が可能となります。

必ずしも一曲通してやる必要もなく、『ここよくミスするな』という箇所に絞ってこの練習をするのもよいかと思います。一度試してみて、そしてご自身にあったやり方に工夫して習得しましょう。

はい、簡単でしたね(難しい)。舞台で度忘れする。急に弾けなくなる。そんな経験で苦労している方は、ぜひ一度試してみてください。

これを出来るようになっても舞台で真っ白になってしまうとしたら、それは技術的な動作の課題やメンタルの整え方など、別の課題があるかもしれません。しかし、漠然と「人前演奏ではいつも飛んでしまう」と悩んでいるならば、それは演奏を完全に覚えられていないことか大きな要因である可用性が高く、本稿の練習を繰り返すことで改善が期待できます。

ちなみに、こう言った取り組みが音楽的に魅力的な演奏に繋がるかは全くの別問題です。小難しいことを考えるよりも演奏に没頭したい!と言う主張があれば、それを優先することで良いでしょう。しかし、あなたがもしも暗譜に関する改善の糸口を探しているなら、この方法は試してみる価値があります。

ゆっくりな曲、簡単な短い曲で上記を試し、成功体験を積み重ねていくことが、いつか大曲・難曲を人前で弾くための近道となるでしょう。

(と自分にも言い聞かせる、、)


関連記事:譜読み、暗譜に際して考えてみたいことまとめ


関連記事

舞台での緊張/度忘れに備えるための対策まとめ

過去記事から、緊張のメカニズムやそれに備える方法、舞台での心得など、労易くリターンの大きいメンタル系の過去記事をまとめました。プロフェッショナルではない私だからこそ、皆さんと同じ視点で語れることがあると考えています。緊張や度忘れに悩んでいる皆様にとって、何かの気づきになれば幸いです。上がり症のあなたへ、それは生物として極めて正しい反応なんです。緊張はするものだ、その前提から、一緒に練習を始めましょう。

※2020/7/24の記事の修正再投稿です。「準備面で工夫していることはありますか」との質問箱をいただきました。過去記事ですが少しでも参考になれば幸いです。※

続きを読む

関連記事

道でゴミを拾った話

僕は真面目な少年であった。

真面目というのは、よく言えば規範を従うということであるが、悪く言えば他人の目を気にしているということである。親に怒られるのが怖かった。あいつ先生に叱られてるな、と思われるのが嫌だった。

そんな僕も少し大きくなると、なぜ自分はルールを守るのか、ということを考えるようになる。誰も見ていない、車も来ない真夜中の道路で赤信号を守るのは何のためだろうか。そんなことに頭を悩ませながらも、赤信号みんなが渡っても自分は止まる。そんな感じの学生生活を送っていた。きっと堅苦しくて息苦しいやつだったのだと思う。

でも、そういう拘りってエネルギーがいる。赤信号を渡らないと、それ自体が変わったやつと思われるんじゃないか。目立つことでかえって悪い結果を迎えるかもしれない。そんなこんなで、私はどんどん普通の人間になっていった。今の私は、どこに出しても恥ずかしくない普通の人間だと思う。もしかしたらどこに出ても恥ずかしい普通の人間になったのかもしれない。

先日駅前を歩いていると、前の方からビニール袋が転がってきた。昔の俺なら拾ってたなぁ。と思ってたら、ほんとに私の足元に向かって転がってくる。まさに一直線と言うやつだ。「転がってきたビニール袋を拾うおっさん」と「転がってきたビニール袋を無視するおっさん」、一体どっちが普通だ?どっちがダサい?そんな問いが頭を駆け巡る。でも、打算が完了するのを待たず、ゴミは私の足元に到着した。そして通り過ぎようとする。

思わず拾った。

誰も俺を見てなくても、俺が俺を見ている。

面倒くさいことに手を出したのは、実に久しぶりだ。ビニール袋にはゴミが入っていた。濡れていた。周りにゴミ箱がないので、仕方がないから家まで持って帰った。手が汚れてしまった、と後悔しなかったといえば嘘になる。けれど、清々しく少し誇らしい気分だった。

こんな些細なきっかけで、自分の好きな自分になれるんだな。そんなことに気づいた休日だった。
関連記事