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中島みゆきさんの名曲「糸」にみる、「仕合せ」の意味

※2011/12/14の記事の加筆再投稿です。
私は文中では「幸せ」と言う表記は極力使わず、「仕合せ」か「幸福」と書くように意図しています。

その理由を本記事の中に記載しています。いろんな「仕合せ」があって今の自分が、家族が、仲間がいる。業や縁のように、この奥深い言葉を使っていきたいと思います。






12月頭にクラブの後輩の結婚式2次会があり、声をかけていただけたので出席してきました。嬉しそうな新郎新婦はもちろん、久しぶりに会えるクラブの仲間にも多く、仕合せな一時を過ごせました。

その宴席の最後には、新郎が「新婦にサプライズプレゼントです」と、ギターを取り出してソロ曲の演奏を披露してくれました。新譜を喜ばせたいとの思いで、秘密にして練習したとのことでした。

・・結婚式前にすでに二人で暮し始めていたのに、秘密で練習ってどうやってやってたんや・・??と言う私の疑問(と若干の不安・・)もよそに、素晴らしい演奏を聴かせてくれました。すごいなぁ。で、その演奏曲は、中島みゆきさんの「糸」でした。

名曲「糸」の歌詞を見ると、、
私はこの曲、Bank Bandさんのカバーで知りましたが、とてもいい曲ですね。旋律や和音がいいのはもちろんのこと、歌詞もまたいい。
今回はこの最後の部分を引用したいと思います。

縦の糸はあなた 横の糸は私
逢うべき糸に 出逢えることを
人は 仕合わせと呼びます


「仕合わせ」の漢字が見慣れませんよね?「幸せ」ではなく「仕合わせ」です。

この言葉に関して、呉智英さんが著書「言葉の常備薬(双葉文庫)」の中で興味深いことを語っています。

「仕合せ」の語源

(以下引用)
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塩原経央は言う。「試合」と「幸せ」は、このようにすると見えにくいが、本来の意味の上から「し合い」「し合せ」と表記すると、両者が対になった対比語であることがわかる。「わが国では他人と『し合う』ことで幸福を手にいれようというような文化的土壌はなかった」。それとは反対に「なすことを互いに合わせること、すなわち『し合わせる』ことが幸福であると考える民なのであった」
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さらに、、この30年ほどの「幸」の許容訓として「しあわせ」も認められるようになってきているが、それ以前の辞典では許容訓はあくまで「さいわい」のみであったとし(※)、以下のように続く。

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「しあわせ」に一番近い語は「めぐりあわせ」である。運命が「めぐりあわせ」るように、自分がそのように「しあわせ」るのである。従って、「めぐりあわせ」に良し悪しがあるのと同じく、「しあわせ」にも良し悪しがある。一九七〇年代までの小説に「しあわせの良いことに家庭にめぐまれだした」だの「彼女はしあわせの悪い女であった」だの、いくらでも出てくる。これを「幸せの悪い女」と書いたらおかしいのは言うまでもない。漢字では「仕合せ」と書くのが普通なのも当然なのである。
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「仕合せ」という言葉には、こんな深い意味と成り立ちが隠れているのですね。ちなみに、中島みゆきさんがこの曲を創られたのは1992年(wikipedia調べ)とのことですので、「幸せ」が認知されてきた時期になります。とすると、中島みゆきさんはあえて「仕合せ」の漢字を使用したと考えるのが妥当なのでしょう。

私は、「幸」を「しあわせ」と読み幸福の意味と捉えることに何の違和感もない人(世代というべき?)ですが、この意味を携え、逢うべき糸に出逢える仕合せに感謝して生きたいと思います。

このたび結婚された後輩に、これからもよい仕合せがありますように。

あとがき
言葉の語源、込められた意味を知ることで文章や表現に重みや奥行きが出る、と個人的には信じています。音楽も同じでしょうか。1つの音、短いフレーズに込められた想いを汲むことで、豊かな表現を目指したいですね。


(※:実際の言葉の常備薬では、「幸」の許容訓は「さいわい」であるにも関わらず、ためらいなく「しあわせ」と読む塩原経央氏の無知をあげつらう内容となっていますが、当記事の趣旨からはそれるためここでは言及しません。興味がある方は該書籍をあたってください)


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