FC2ブログ
                        

サウダージNo.3 (R.ディアンス) 演奏紹介、および旧版/新版の差異説明

※本記事では最初に自分の演奏を紹介した後、後半で楽譜の内容の紹介をしています※
Saudade No.3 (サウダージ第三番)


作曲:Roland DYENS


第53回猪居ギター教室定期演奏会での演奏です。演奏自体は、指が回らないところやもつれがあったので、少し残念でした。やっぱり、これだ!という演奏をやりきるのは難しいですね。ただし、こう言う一見して格好良く、ただ適当に弾くと何をしてるのかよくわからなくなってしまう曲にじっくりと取り組むというのはいい経験になりました。

演奏会で見ていただいた方に、「今まで見たサウダージの中で前(儀式)と後ろ(終曲)が一番長かった」というコメントをもらいました。 ・・なんでも一番になるのはいいことです(汗)。技術的に設定した速度(これ以上速く弾けない)というわけではなく、どう弾きたいかを突き詰めた結果としての演奏だったので、何か通じるものがあれば嬉しいです。

曲自体は学生のころから好きで、二楽章なんかは適当にマネしてました。ギタリストに人気があるのはもちろんのこと、ギター以外の楽器を演奏される方にもうけがよく、「ギターってこんなことできるんですね」と驚き喜んでもらえたり、一楽章(儀式)のごちゃごちゃした楽譜を見て「ひぇ~w」となったりと、盛り上がれる曲です。

以下、楽譜の紹介記事に続きます。
サウダージ第三番は、1980年にディアンス初の楽譜として発売されました。この新版は、25周年を記念して出版されたものです。旧版と新版では、異なるところがたくさんありますが、基本的には「誤植の訂正」と「指示の適正化」である、と序文でディアンスが述べています。どのように異なるのか、はぜひ自分で購入し確認してほしいところですが、大きく異なるところを紹介します。

①「第1楽章 儀式」 最終段の休符
(旧版)下図のように、最終段が休符からのff(フォルテシモ)で、溜めの表現もその後のリズムも難しかったのですが、
vivo_old.jpg

(新版)頭の休符が無くなり、さらにアクセントをつけてくれたため方向性が非常に明確になりました。この違いは、ちょっとしたようでかなり大きいです。


vivo_new.jpg

②第3楽章 祭り 三十二分音符の繰り返し回数
(旧版)三十二分音符の刻み部分で、2回目が3回目より一つ多くなっています(青丸個所)。これで字余り感のような不思議な感じは出ていたのですが、そもそも4拍に合わない、というところが不可思議でした。その前では3/4+3/16なんて複雑な指定をしておいて、また別の箇所では「7/16」や「5/16」なども使っておいて、ここだけ拍が合わないというのはどうも腑に落ちない
Fete_old.jpg

(新版)この怪しい個所が、新版では「すっきり~☆」と拍に収まるようになっています。噂というか聞くところによると、「この部分単なるミスやで」とディアンス本人が言ってたそうです(関西弁ではなかったと思いますが)。この字余り感にセンスを感じていた人には申し訳ありません!(と私が謝ることでもありませんけどね)。

Fete_new.jpg

とここでは大きな違いを2点説明しました。そのほかにもいろいろ細かく指示が増えていたりして、サウダージ好き、というかディアンス好きには垂涎ものです。ぜひお買い求めください。楽譜と向き合う、楽譜を比べる練習にもなるのではないでしょうか。


楽譜指示一覧
ディアンス作曲サウダージ第三番の、新版(2005年版)に記載されている情報の訳です。譜読みの際の参考にどうぞ。私にはイタリア語の知識はありませんので、基本的にオンライン辞書で調べています。伊日翻訳でうまくいかない、意味が通じない場合も多いので、その際は伊英翻訳を挟むようにしています。間違いがあったらごめんなさい。

旧版では基本的にフランス語でした。新版では、文章指示の箇所はイタリア語以外に英語を書いてくれているので、わかりやすく非常に親切です。ディアンスと言うと、楽譜内に必要な指示はすべて書いているため自分の曲はレッスンをしない、と言うことで有名らしいです。そのエピソードにも頷ける、豊富な指示となっています。

2楽章最後の、「消え入るように」からの「弾いているフリをしろ」などは、大変ユニークですね。私の演奏4分10秒あたりから、必死(?)に弾いたふりしているのを見たらけっこうおもしろいです(あしゃおファン目線)。めっちゃトリルしているようで実は弦に当てていない、という謎スキル。あと、ところどころででてくる plp/ flesh は、p(親指)で爪を使わず指頭で弾くようにという指示です。ディアンスはときどきこの指示を使いますね。サティのグノシエンヌ第一番をディアンスは編曲していますが、これだと親指の低音はすべて指頭弾きを指定されています。わざと芯を無くす狙いで面白い弾き方です。しかし、これは単音(低音弦一つのみ)なら比較的簡単にできるのですが、和音で綺麗に弾くのはなかなか難しいです。サウダージ中で和音弾きおろし個所でこの指示のあるところは、私のスキルですと逆に音が汚くなるため、指板側に弾くだけにしています。

本記事に興味があった方は、ぜひディアンスに関するこちらの記事も読んでいただけると楽しんでいただけるのでは、と思い紹介します。また、別途ジスモンチの「やくざのバイヨン」に関する記事も投稿しました。同じブラジル音楽のノリを比較してみるのもいのではないでしょうか。

楽譜上の指示
(基本イタリア語)
英語 日本語
lento poi accelerando poco a poco   ゆっくり、その後少しずつ加速
 a piacere pleasure 愉快に、楽しみに
dolcissimo the sweetest もっとも甘く
l.v. = laissez vibrer let vibrate 振動させて。響きを止めずに
ben cantando well singing  
liberamente freely  
piu energico more energetic エネルギーをもって
tastiera keyboard 指板
pont. = ponticello   ブリッジよりで
mano sinistra sola alone left hand 左手だけで
scorrevole 流暢な
pochiss. = pochissimo   ほんの少し
deciso decided 決定された
sempre pp e regolare always pp and to regulate  
Trillo prima lento, poi accelerandolo, rallendolo etc   最初の速度でトリル、その後アクセル/ラレンタンドなど
Mentre sempre mantenere lo stesso tempo del ritmo giu While always to maintain the same time of the rhythm down  
al niente to nothing  
faire semblant de jouer pretend to play  
Ritmico e molto preciso Rhythmic and very exact リズミカルに、とても正確に
tempo giusto just テンポちょうどで
en soulevant les doigts de la main gauche by raising the fingers of the left hand 左手を上げることによって、アクセント
2e fois seulement 2nd time only  
stopper toute resonance precedente abruptly stop any resonance preceding 突然、先行しているどのような反響でも止めなさい
soave sweet  
aspro   厳しい
àpre rough 荒々しく
perd. = perdant, perdendosi   弱々しく、消え行くように


2015/6/28 演奏記事と楽譜情報の2記事を投稿
2019/7/15 2記事を統合し、さらに旧版新版の違いを追加して再投稿
関連記事
                        

コメント

非公開コメント