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クラシックギターに暗譜は必要か

皆さんギターを演奏する機会には、暗譜で臨まれますか?それとも楽譜を用意して演奏されますか?

私は暗譜派です。しかし、世の中には譜面派もいらっしゃいます。以前敬愛するギタリスト大萩康司さんにお話をお伺いした際には、基本は譜面を見ることが前提、と言われました。理由は明快で、全部覚えているとステージをこなしていけないから、とのことです。その時おっしゃっていた、直近1ヶ月のステージ数と新譜数は、あしゃお比5年分以上、下手したら10年分くらいありました。。そりゃ無理だ、、

トッププロと比較してもあまり参考にならないかもしれませんので、別の切り口で考えてみたいと思います。

みなさん、本の朗読をすることになったら、どうしますか?それが、一世一代の間違えられない機会だとしたら。
私なら、暗記はせずに本を用意して読みます。その方が変なプレッシャーを感じずに、間違わずかつ気持ちも込めて読むこともできる自信があるので。ただし、条件があります。

その文書が日本語で書かれていてることです。日本語なら、見たら確実に読めるので覚えない。それだけです。なので、日本語でも方言やら古文やら、慣れないものなら慎重に準備をすることになり、場合によって暗記に近づいていくでしょう。

何が言いたいか、論点をご理解いただけるでしょうか。ギターでもピアノでも、言葉でも、楽譜や本を見た瞬間にそれを把握し再現できる能力が備わっているかどうか、が大切な要因だということです。もしかしたらダンスなども同じかもしれません。求められた動作をすぐに再現できるのであれば、その順序の整合を記憶に頼る(暗譜)か外部入力(楽譜)に依るかは、その人暗記力次第で決めればよいでしょう。

ただし、朗読の場合と比較し、楽器の場合は1つ難しい点があります。それは、音を出すと言う行為にも視力を割かないといけない場合が多い、と言うところです。クラシックギターは特に、椅子や足台との兼ね合いでフォームや体勢が流動的になりがちで、手元を見ない弾き方はリスクが大きいと言えます。ここを必要十分なレベルまで鍛えるのかどうか、ここが1つの岐路かと思います。

なお、楽譜を見ながらミスを減らす手段は上記に限るものではなく、高速で譜面と手元を交互に見る練習をしても良いし、視野を広くして楽譜と手元を同時に見てもよい。その他メガネ型スクリーンに楽譜を投影し、手元の確認と同時に譜読みをする方式も考えられる(謎の特許風なお書き)。

くどくなってきましたが、何が言いたいかと言うと、何に基づいて演奏するかと、それをどうやって手の動きに連動させるかは本来別のプロセスですよ、と言うことです。この辺りの切り分けをせず、色々なことをごちゃまぜなまま「暗譜」と言う漠然とした行為に取り組むことになると、効率も悪ければ演奏時のリスクも高いことになります。

例えば、五線譜で譜読み演奏できないけどタブ譜では見ながら弾ける。この人は、五線譜の瞬発的な理解力に課題があるだけなので、そこを強化しましょう。運指やコードなどの注記を積極的に書き足すのもいいと思います。五線譜は楽曲の理解、解読に向いているため推奨されたりもしますが、読解が済んでいるなら舞台上でタブ譜をつかっても構わないわけです。

楽譜をじっくり眺めた後も弾けない箇所があるようなら、それは記憶ではなく動作の課題ですから、ひたすらそこの部分練習が必要です。その段階を経ずに通し練習や暗譜への努力をしても遠回り、下手すれば逆効果です。

私の場合は、「間違えずに(思ったように)弾く」ための練習を重ねる上で、「視線を指板に向ける=譜面から目線を逸らす」必要があり、その結果舞台に出す完成度となったときには「暗譜している」状態となっているので、今のところの舞台では暗譜というスタイルを取っています。

譜面演奏をしたいけどしっくりこない方は、楽譜を把握する能力と、それを音に変換する能力、加えて自分の視線の定め方の癖を見極めて方向性を決め、足りない箇所ごとには訓練を積めばよいのではないでしょうか。


ちなみに、最も避けるべきなのは、「たぶん覚えたんだけど、なんか不安だから一応楽譜を置いとこう」のパターンです。この場合、結局楽譜を見るのか見ないのか。見るならどのタイミングで見るのか、どこの音節がどの小節で楽譜上のどの位置に印刷されているか、などがあやふやなまま本番になり、普段と違う思考や視線の動きがミスを誘発するためです。

似たパターンでは、重奏やアンサンブルなどで、慣例的に楽譜を置いていても、そこから「覚えている」以上の情報を引き出せていないこともあるように思います。「他奏者の音やタイミングを確認する」と言うと一見もっともらしいようですが、それは初見でほぼ弾けて、本番で自由な掛け合いを楽しむレベルの人の話。本番までに練習を重ねる人たちなら、たぶん必要な内容は覚えているはずで、それ以上の情報を楽譜から入手しながら本番で演奏するには、そのためのスキルを鍛えていく必要がある、と思うのです。

要するに楽譜を見たらそのまま弾ける総合能力を獲得した人以外は、譜面を置くメリットを享受できていないのではないか、と。

というわけで、長くなりましたが結論。
クラシックギターに暗譜は必要か?に対する私の答え。

母国語の本を読むように楽譜を見て演奏ができる人以外は、暗譜を前提とすることが必要でしょう。多数のステージをこなすなど、特殊な事情で譜面演奏をする必要のある方は、楽譜理解する、楽譜を暗記する、手元を見ない、などスキルを細分化し、自分に欠けている部分を地道に能力を鍛えましょう。

以上、譜面演奏ができない自分を正当化する試みでした。
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テーマ : ギター
ジャンル : 音楽

tag : 音楽論, 演奏・練習のコツ,

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