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平均律の理解が舞台演奏の自信に繋がる 「音律と音階の科学」紹介

今日は、調弦と平均律に関して少し書いて見たいと思います。

クラシックギターを演奏するにあたり、最初に覚えなければならないことの一つが「調弦」です。調弦とは、ギターの弦6本をそれぞれ演奏に適した音程に合わせること。チューニングともいいますね。ピアノの場合は調律と呼ばれ、専門の調律師が音程あわせを行うことがほとんどです。しかし、ギターでは演奏前に自分で合わせる必要があります。そのためには、調弦自体に対する知識に加えて、ぜひとも「平均律」に関しても勉強してみてください。この知識は、あなたの知的好奇心を満たすだけでなく、調弦結果、ひいては人前演奏自体への自信に繋がることでしょう。


具体的な調弦方法


この作業、やり方はいろいろあります。方法に関しては各種教本やサイトで述べられていますので詳細は省きますが、例えば下記の様な方法があります。
①音叉で基準音440Hz(5弦ラ)のみを合わせた後、実音で他の弦を合わせる。
②音叉で基準音440Hz(5弦ラ)のみを合わせた後、ハーモニクスを用いて合わせる。
③チューナーを使用して各弦を順番に合わせる。
などなどですね。他にも色々な方法がありますね。


初心者のうちは、「気持ち悪くなければいいや」で大胆に通り抜けられる調弦です。しかし、演奏に慣れてきて耳がよくなってくると、「この調弦では気持ち悪くて弾けない」と思うことが逆に増えてきます。では、①②③どの調弦方法がよいのか、それとも他の調弦方法を探す方がよいのか・・。

 

どんなに優れたな調弦をしても、全ての和音が「完璧」に調和することはない


調弦の不安定さは、調弦と言う行為の正確さの問題と勘違いされかちです。しかし、実はそうではない。上記①②③のような一般的なやり方では、どんなに高価で高精度なチューナーを使用しても、天才音楽家に調弦してもらっても、全ての和音が完全に調和することはない。なぜなら、この不快感は「ギターが平均律楽器である」ことが根本的な原因だからです。なので、自分がこれから弾く曲に合わせ、自分が心地よいと思う響きを作るんだ。そういう思いで調弦しないといけません。
ここを理解しないと、調弦地獄に落ちて未来永劫黄泉平坂をさ迷い歩くことになります。。いくらチューナーとにらめっこしても、合わせても合わせても合わない。

では、平均律とは一体何なのか


じゃ一体平均律ってなに?そもそもドレミとは・・? これを分かりやすく説明してくれているお勧めの本が、「音律と音階の科学(小方厚・ブルーバックス新書)」です。「ドレミは・・は、まずピタゴラスが決めた!」ってご存じでしたか?音楽の世界になぜ三平方の定理で有名な数学者の名が出てくるのか、それは西洋音楽が極めて数学的な理論の上に成立しているからです。

なんか通販くさくなって自分でも嫌なんですが、平均律に関して具体的に述べようとすると、結局この本に書かれていることの抜粋か焼き直しになってしまう。そう思ってしまうくらい、本書はお勧めなので。。とりあえずぜひ一度手に取ってみてください。読んだ上でわからないところがあれば、理解の手助けはできるかもしれないし、させていただきたいですよ😀


音感があればあるほど、逆に「平均律の限界」に起因する不快感は大きくなってしまいます。独学で音楽をやっていて音律に関しての知識がないと、不快感の原因が分からずもやもやしてしまいます。実際に私がそうでしたf^^; 

調弦が気になっていじってもいじっても不快なうなりが消えない、何故だー!ってなってしまうのです。しかし、音律に関しての知識を得てからは、「どんなに調弦にこだわっても完璧に調和した音にはならないんだ」と理解することが出来、自信をもって調弦をほどほどで終わらせることができるようになりました。私が合わせられないんじゃない。平均律だから合わないんだよ(ニッコリ)


ピアノの調律師に音感は必要ない


ピアノの調律と言う、音の調整を専門に行う方。彼ら彼女たちが、みな絶対音感を持ち音感が優れているかと言うと、必ずしもそうではないそうです。実際に調律を行う際には、「うなり」を確認する。あの音とこの音は、1秒間に○回うなるのだ、それを合わせ込む。必要なのはその技術を鍛えることであり、ある音を聞いた瞬間に「これが△Hzの☓音だ!」と言うのはいらないそうです。

音感はもちろんあるに越したことはないでしょう。それでも、知識と技術があれば努力次第でプロの調律師になれる、と言う事実を知れば調弦に対する心構えも少しは楽になると言うものです。


数学が苦手な方は、結論だけでも理解して。。


調弦が合わなくて苦労している方や和音が不協な気がする方で、平均律とは何かをご存じない方は一度調べてみられることをお勧めします。上記「音律と音階の科学」はけっこう数学的観点からの著作となっていて、苦手な方はいらっしゃるかもしれない。けれど、これは絶対に理解した方がよい内容です。

逆に言うと、一般的な楽典やコード理論の本は、この部分に切り込まずに、オクターブ内の音はドレミファソラシドの8個で、3度の音を半音下げるとメジャーがマイナーになって、、とかからいきなりスタートするものが多いですね。平均律に関しては、書いてなかったり、「知ってるでしょ」くらいの勢いでブッこまれてたり。でも、ここは「知らん、わからん」で済ませてしまわず、頭を使って理解すべきです。調和するとは何か。和音はなぜ心地よいのか。音楽が空気振動である以上、その物理現象に関する知識を避けて通ることは音楽に対する理解を弱くしてしまいます。もしどうしても難しかったとしたら、「平均律はうなりが残るんだなぁ」「純正律は転調に弱いんやな」などの結論だけでも習得されれば、調弦に対する苦手意識が少しは克服できるのではないでしょうか。


他楽器の方と演奏するにも、必要な知識


「ギターは平均律の楽器である」と再三申し上げてきました。しかし、世の中には平均律以外を自由に演奏できる楽器も存在します。例えば、バイオリン。バイオリンはフレットという構造を持たないため、自分の出したい音を出すことができます。その自由度の高さから求められる感度は非常に高くなるものの、旋律をどう弾くか、和音をどう鳴らすかを「耳」から作ることが可能です。ボーカリストもそうですね。

そう言った方々とアンサンブルをする機会を得たとして、音律の違いによる知識がお互いのベースにないと、ひどいことになります。お互いに「この人耳悪いなー」「きれいに合わへんな~…」となりますからね。そしてこの場合は、たいていギターの方が分が悪いです。向こうは自在に音律を調整できますからね。なので、例えばサビの決めポイントで他楽器と協調して綺麗に聞かせるような調弦にしておく、のような技術を、ギタリスト側が持っておくべきでしょう。同時に、「なぜ和音が完全に調和しないか」を説明できることが、お互いの認識合わせ、スキルアップのために重要だとも思います。

同じ「和音が合っていない」と言う事実があったとして、
・耳が悪くて気づいてない
・気づいてはいるけど技術的理由により合わない
・気づいていて技術もあるけれど、平均律の限界により合わないときもある

同じ現象に対するこの辺りの正確な認識が、そのアンサンブルが今後どうレベルアップしていくかに影響します。課題を正式に認識しないと、その解決はできませんからね。



本気を出したトッププロは、ソロ演奏でも平均律を克服する?


ちなみに、本当に耳が良くて知識もテクニックも備わった方には、平均律の克服を目指す人もいます。和音の構成音内で、「ネック側に引っ張り音を高くする弦」と「ブリッジ側に倒して押さえて音を低くする弦」、これと演奏中のペグコントロールで、ある程度純正律やその他の調和した響きにリアルタイムで調整するらしい。いやそこまでいかれると意味がわからないですわ、、私レベルの音感では、やってることが凄すぎてついていけません。。いや頭では理解できますけどさ、、そこまでできるんかい!敵わんわ!みたいな。




あとがき
本記事は2010/9/28 の記事の加筆修正再投稿です。昨日演奏会で色々な方の演奏を聞いたときに、調弦に対してもう少し敏感になったらもっといい演奏になるだろうな、と思うステージがいくつかあったので、改めて記事にしてみました。チューナーでやっても合わないよ。曲中に調弦変更したらずれていくことを覚悟した方がいいよ。みたいなね。調弦に苦手意識を持たれている方は、本稿を、そして紹介した著作を是非参考にしてみてください。



変則調弦の曲を知る
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