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あなたは何のプロですか

本ブログに質問箱を設置してから2ヶ月。「誰でもいいから何か質問しろ!」と言う、私の叫びにも似た悲鳴を見かねた心ある方が、とうとう質問をしてくれた。それが表題のものである。「あなたは何のプロですか」 さて、私はいったい何のプロなんだろう。


プロの定義とは
最初に聞いたとき、実はピンとこなかった。でも、改めて考えると、これはとてもいい質問だと感じる。私は一体全体、何のプロなのだろう。何かのプロたりえるのだろうか。この手の話題の定石として、まずは「プロ」の意味を確認しよう。

プロ: ある物事を職業として行い、それで生計を立てている人。本職。くろうと。(デジタル大辞泉) プロを名乗るには、生計を立てることが前提となるらしい。この時点で、私の返答は1つに絞られた。「私はプロの会社員である」 以上。このままではあまりに味気ないため、もう少し考察してみたい。

元の英語 professional の意味
プロの元である、プロフェッショナルの英語での意味を見てみよう。訳は、ロングマン現代英英辞典による。
professional: relating to a job that needs special education and training.
なるほどなるほど、特別な教育や訓練を必要とするジョブに関連すればいいんじゃん。オッケーおっけー、ギターは教育も訓練も必要とするぜよ。ちなみに念のため、ジョブの意味は、、?

job: the regular paid work that you do for an employer.
あしゃお訳: 社長さんのために行う、お金をもらえるちゃんとした仕事

結論: あしゃおはプロの会社員である  
結論は出たものの、このままではあまりに悲しいためもうちょっと突っ込んで考えてみたい。


お金を稼げるレベルならばよいことにしてみて

大半の会社員はなんのプロにもなれない、なんてことでは寂しいので、生計を立てていなくても、生計を立てられるレベルであればよいことにしよう。さて、その場合に「プロ」と言えるレベルのものがあるか。
話題はここまで来ても、いやむしろ、事ここに至ってこそ、この問いはもっと難しくなってしまう。私の場合、「ギターがプロ級です」と言いたいところではある。実際に、特定の曲や練習のアプローチに関しては、その道で生計を立てている「プロ」に負けないレベルだ、と自負している。いや、そうであってほしい、そう思ってこれまでギターに取り組んで来た。しかし、この「稼ぐことができる」と、「実際に稼いでいる」の間には、大きな隔たりがあることを、私のような偉そうなノンプロこそ理解しなければならない。


あるスキルが優れていることと、それをマネタイズできることは別である

ギターの例を続けるなら、「演奏が物凄く上手で人を魅了できる」からと言って、そのスキルで「コンサートホールを満席にしてお金を稼げる」かは別だ。別であるにも関わらず、たいていの独立事業主がその双方を個人で行っている。これは、もっと褒められるべきであると同時に、もっと危機感を持って語られてもよい。音楽的才覚を持つと同時に、経営感覚をも備える。それは無理、とは言わないがハードルが非常に高い。世の中様々な分野に「プロデューサー」と呼ばれる人がいるのもむべなるかな、である。



会社員であるところの私の話に戻る
私の場合は、幸か不幸かプロのギタリストにはならず会社員となった。そして、「マネタイズ」のなんたるかを考えないまま、そこに危機感を抱かないまま過ごしてきてしまった。私は自分のことを無能だとは思わないし、タダ飯ぐらいだとも考えていない。ノウハウもあるし、スキルも少しはある。けれども、それを「換金」する術は持たない。換言すると、業務観点でも「プロ」と名乗るに値するものは何も持っていないということだ。これは、私個人の観点からは恥ずかしく残念なことである一方、別の観点で見れば、自分の所属する組織の持つ底力に驚嘆する部分でもある。

このような仕組みに関しては、残念ながら学生時代の私は気づかなかった。社会人になってもあまり気にしなかった。「副業」とか「定年65才」とか、年金どうなるんだとか、社会全体がそう言うことを気にするようになってきて、今さらながら悩んでいるのだからなんとも呑気なものだ。とはいえ、遅すぎることはない、とも思いたい。独立事業主としての経験にはかなわなくとも、「プロの会社員」としての汎用性も役に立つときもあるだろう。いや、実際にこのブログで発信していることなんかは、「プロギタリスト」ではないからこそできる内容である、と誇りたいところである。

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「何をもって憶えられたいか」

最後に、冒頭の問いを聞いたときにぱっと思い出したフレーズを紹介して、この取り留めのない文章を閉じたいと思う。P・F・ドラッカー『非営利組織の経営』より(ドラッカー入門 上田惇生 冒頭部より孫引き)

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 私が十三歳のとき、宗教の先生である牧師さんが「何をもって憶えられたいかね」と聞いた。誰も答えられなかった。すると、「答えられると思って聞いたわけではない。でも五〇になっても答えられなければ、人生を無駄に過ごしたことになるよ」といった。
 長い年月が経って、私たちは六〇年ぶりの同窓会を開いた。ほとんどが健在だった。あまりに久しぶりのことだったため、はじめのうちは会話もぎこちなかった。するとひとりが、「フリーグラー牧師の質問のことを憶えているか」といった。みな憶えていた。この質問のおかげで人生が変わったといった。・・・
 今日でも私は、いつもこの問い、「何をもって憶えられたいか」を自らに問いかけている。これは、自己刷新を促す問いである。自分自身を若干違う人間として、しかし、なりうる人間として見るよう仕向けてくれる問いである。運のよい人は、フリーグラー牧師のような導き手に、若いころそう問いかけられ、一生を通じて自らに問いかけ続けていくことになる。
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「あなたは何のプロか」の問いにはパッと答えられなかった私だが、「あなたは何をもって憶えられたいか」という問いは、・・・残念ながらこちらもパッとは答えられないようだ。しかし、定期的に自分に問い続けるようにはしている。その問いの傍らには、会社員としての自分だけでなく、「ギタリスト」としての自分も確かにいるように感じている。

あとがき
「あしゃおさんは何のプロですか」 どういう意図でもらったかわからない質問でしたが、自分なりに真摯に向き合ってみました。自分の中から能動的には出てこない事柄を考察する、というのは勉強になるものです。思いの外まじめな長文に引かれませんように。そしてこの拙文が、仕事とは何か、プロとは何か、そんなことを誰かが考えるきっかけになれば幸いです。また、どんなことでも、また質問箱に質問いただければ、向き合得させていただければな、とおもいます。

あとこんだけ書いといてなんですが、もしかすると模範解答は「プロアルテ」だったんだろうか・・(笑)。




初心者にお勧めの曲は、実は脱初心者・中級者にこそ繰り返しの練習が重要な曲だった

ギター初心者にお勧めの、譜読み・運指が難しくない曲の紹介です。初心者の方にお勧めできる「簡単な曲」であると同時に、最近難曲ばかり弾いていて伸び悩まれている中級の方にこそお勧めしたい曲となっています。

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