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え!!ハーモニカでソルの魔笛を!?

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出来らぁっ!

…と言う訳で、今日は「モーツァルトの魔笛の主題による変奏曲(F.ソル)」をギター以外で弾く、と言うありえない話を紹介したいと思います。

(ちなみにタイトルと冒頭のネタがわからない人は、「できらぁ」検索してください汗)

モーツァルトの魔笛の主題による変奏曲


古典~ロマン派の時代に活躍したF.ソルの代表曲で、イントロ/ テーマ/ 5つの変奏+コーダと言う構成をしている。この曲は技巧的な見応えもありつつ、音楽的な聞かせどころもあり、古典的でありロマン的でもある(これは私の勝手な印象かも)素晴らしい曲です。一昔前は演奏会や発表会でよく聞いたけれど、最近少なくなってきたように感じるのは気のせいでしょうか。


誤魔化しがきかない


流石にあのソル様の曲です。よくできていて、誤魔化しが聞かない。すべての音を大切にしないといけない。けれど、すべて音を大切にしすぎるとそれはそれで曲にならない。楽譜の版に関しても、原典版なのかセゴビア版なのか、と言った議論の余地がある。演奏者のレベルに応じて別の課題が見つかる、常にレベルアップを図れる曲だと思います。そんな、クラシックギターの名曲中の名曲を、、なんと別の楽器で弾く人がいたんです。

複音ハーモニカってご存知ですか?


はい、私は知りませんでした。一般に想像するハーモニカは、長渕剛的なブルースハーモニカですね。これは、調性内に存在しない音は諦めて、コードに合わせて持ち替えるのが一般的。対して、ちょっと本格的っぽいのがクロマチックハーモニカです。その名の通り、クロマチック(=半音階)を一本で演奏できるように、レバーを用いて半音の切り替えが可能です。この2つに共通するのは、一つの音に一つの穴しか存在しない、と言うところ。

複音ハーモニカと言う楽器は、1つの音に2つの穴を割り当て、その2つの高さを微妙に変えることでトリルやビブラートを表現可能にした、日本発祥の楽器らしいです。うーん、聞いてるだけでややこしそうです。でも、クロマチックハーモニカのようにレバーやスライドのようなものはついていない。と言うことは、半音階が弾けず演奏できる曲が限られるんじゃ…?



ハーモニカを2本同時に持てばできらぁ!!


大丈夫です、1本で音階が足りないなら、2本持てばいいんです。と言う脳筋理論を、マジでやっているのが、プロの複音ハーモニカプレイヤー。うーん、意味がわかるけどわからない。。世の中にはニッチな世界を攻める人がいるものです。クラシックギターもマニアックだと言う自覚がありますけれど、複音ハーモニカの世界も相当深そうです。


複音ハーモニカでソルの魔笛を弾く!


はい、どんどんレベルが上がってきていますが、皆さん着いてきていますか?私は自分で文章書きながら、理解的にはとっくに脱落しています(笑)。

私がこの話を見たのは、2019/9/7放送の題名のない音楽会でした。複音ハーモニカからは、寺澤ひろみさんという方が出演されていました。複音ハーモニカは音階が不自由なので、同時に複数のハーモニカを持つ、と。そいで、始まる曲が「モーツァルトの魔笛の変奏」だと。ふむふむ、流石にモーツァルトの曲、ハーモニカ向けにも編曲されているんだなぁと思ってみていたら、、



いやいや、これソルの魔笛やん!ソルによる「モーツァルトの魔笛の主題による変奏曲」をハーモニカ用に編曲しとるやないか!!はい、意味不明、理解不能(褒め言葉です)。

でも、本当にそんなことできるの??


ハーモニカを9本準備して、4本同時に演奏すればできらぁ!!



本日3回目のできらぁ!です。ちょっと何を言ってるかわからないと思いますが、私も何を言ってるかわかりません。1度に4本までは持てて、それを順番に入れ替えながら演奏するらしいです。そして本当に演奏してました。。テレビサイズだったのか、演奏自体はテーマ、第2変奏、第5変奏+コーダの構成で、3分弱でしたけれど、せっかくなんで全部聞きたかったですね。編曲としては全変奏あるのでしょうか、どうなんでしょうか。第3変奏がなかったので、編曲の元になった版が原典だったかセゴビア編なのか私にはわかりませんでした。。


編曲者は寺澤ひろみさんの亡父、寺澤博義さん


このテレビを見て衝撃を受けた私は、この編曲に関して調べてみました。(もしかしたら、この演奏を見て受ける衝撃は、ハーモニカ奏者よりもクラシックギター奏者の方が大きかったかもしれません。)すると、出てきたのが恐ろしくドラマチックな寺沢さんの半生と、そのターニングポイントに現れる、ハーモニカ奏者だった父親に託された直筆の魔笛の楽譜なんです。


「これは僕の経験と知識が全部詰め込んであって、難しいけど僕としては何処に出しても恥ずかしくない楽譜だと思っているから、もしキミが複音ハーモニカに興味を持つようになることがあれば、その時にこれを持って来なさい」


こう父親に渡された楽譜を、父親が亡くなられた後で手に取り、複音ハーモニカへの道を歩み始めた寺沢さん。この曲で世界大会に優勝し、そのまま気がつけばプロになられていた、と言うことです。

ここはもう、私の下手なようやくではなく、ぜひ原文をあたってみてください。

意図した以上の感情が表現できるのは呼吸を使うハーモニカならではの魅力 寺澤ひろみ
https://www.zengakkyo.com/interview/008.html

寺澤博義さんが「どこに出しても恥ずかしくない」と仰っられているので、楽譜は全変奏分あるのでしょうか。クラシックギター曲をハーモニカ用に編曲したいと思うほど愛してくれた博義さんと言う方がいた事、そしてその曲が埋もれてしまわないよう取り組まれた娘のひろみさん、そのひろみさんを通じてハーモニカの良さを知ったであろう多くの方。その繋がりに、何か胸が熱くなります。


私も魔笛に取り組もう、かな、、


ソルの魔笛、いい曲で勉強にもなるのですけれど、これまでのところしっかりと取り組んではきませんでした。難曲ですし、今さら私が弾かなくても著名な方の名演はいくらでもあるし。でも、今回このエピソードに触れて、せっかくギターという楽器を学んていながら魔笛を避けていることが恥ずかしくなってきました。どれほどの演奏ができるかわかりませんけれども、自分なりにこの曲に取り組んでみよう、そんな気になりました。

あとがき
クラシックギターはエレキやアコギと比べるとマイナーな世界だなと思いますが、複音ハーモニカでソルの魔笛も負けず劣らずマニアックな世界のように思いますが、果たしてどうなんでしょう。これだけ人を虜にする楽器なんですから、また機会を見つけてハーモニカも聞いていきたいですね。また、こんな細い線を繋いでくれたソルと寺澤父娘に感謝したいと思います。いつか全編聞く機会に恵まれたら嬉しいな。


クラシックギターの魅力 ~消えゆく音の美しさ~

少し前の話になりますが、テレビ朝日系列「題名のない音楽会」の1月30日の放送で武満徹の特集が放送されていました。タイトルは、「日本の巨匠 武満徹~音が沈黙と測りあうとき」でした。 武満徹さんは日本を代表する作曲家で(1996年に逝去されています)、クラシックギタリストにとっても大変重要な楽曲を作・編曲もなさっています。 武満徹さんの音楽を評して、指揮者の佐渡裕さんは…


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