開発の仕事自体はとてもやりがいがありました。世界で誰もやっていない、あるいはやったけどできなかったことに挑戦する。物になるかならないかわからないプロジェクトにお金と時間をかけさせてもらえる。これは本当に恵まれています。けれど、まぁ日の目を見るには時間がかかるし、見たとしても店頭には並ばない。その意味では、入社前と思ったことは違ったことをしているなぁ、という感覚はありました。
その後、開発部隊に5年ほどお世話になったあと、設計舞台に異動し無事自分の関係した製品が出荷されます。けれど、それを市場で見ることはこれまでありませんでした。市場がニッチなもんで。ところが、、
出張のため移動をしていると・・、見つけた!
あった!ありましたよ!動いてたんですよ、私の作った製品が。しかも、奇しくも初めてリーダーをさせてもらった製品だったんですよ。もっと薄く小さくしろと言われて、これ以上できへんとやりあったり。想定外の動作したらどうすると言われて、そんなもん企画時点で考えとけよと思いながら対策を考えたり。せっかくできたら高すぎると言われて、社外の方と一緒にうんうん唸ったり。
いや、本当に感動でした。ちゃんと市場で並んでいて、電源が入って動作している。ユーザが使ってくれている!いや、こんなに感激するもんなんですね。大人の事情があるのかないのかわからないので細かくは言いませんが、気持ち的にはここに写真どーんと載せたいくらいです(笑)。
クラシックギター愛好家向けのコンクールをまとめました。コンクールはプロを志す方にとって登竜門であるだけでなく、愛好家の方にとっても有効活用できるものであると思います。ここでは、いわゆる「職業的ギタリスト」を目的としない方でも挑戦しやすい、課題曲の負荷が量的/質的に少ないコンクールを中心に紹介をしています。...
自分が深く携わった分、感動もひとしお
小さな製品でしたし、難易度も注目度もそんなに高くはなかったかもしれない。けれど、新しいことに挑戦しながらなんとか出荷した、自分としては記念すべき製品だったんです。もちろん一緒に働いた仲間の協力な支援と実力があったからできたことです。とは言え、あちこちと話をし方向を示し、あれこれ実験し実験してもらい、上司にはなんで遅延したか説明し、後輩には文句を言われ板挟みになったり、まぁ色んな経験をさせてもらいました。大層だけれど、どんな仕事も多かれ少なかれそういうものだろうけど、そういう事を経験しました。
そして、いざ出荷!しても、なかな目に入らないし、噂も全く聞こえないんですわ。ほんまに出荷されたんかいな、くらいのレベルですよ。うちの事業部って、製品自体の噂よりも不具合連絡の方が多く届く気がするレベル。あ、でもこの製品はそういう面でもいい製品で、出荷後しばらく経つのに不具合報告もほぼない、優等生ではありましたけどね(プチ自慢)。
自分の設計が世に出るのがエンジニアの醍醐味
これまで漠然とした夢ではありましたけれど、「市場で自分の製品を見る」と言う就職の1つのきっかけを、思わぬ偶然見かけ本当に嬉しい時間を過ごす事ができました。アイフォンが売れたときのジョブズとか、Wiiが流行ったときの岩田社長とか、脳汁ドバドバやったんやろなぁ。絶対お忍びでベストバイとかヨドバシカメラに行ってニヤニヤしてたと思う。いやむしろそのほうが人間味があって好きになれそうな気すらします。
いま、日本の電機メーカーは総じて調子があまりよくない。そんな中ではありますが、いま就職や転職で悩まれている方は、エンジニアと言う職業を選択肢に入れてみるのもいいかもしれません。私は当然ギタリストに憧れてきますし、芸能人とかデイトレーダーなども体験してみたい職業です。けれど、「有形の何かを作り出し、それを世に送り出す」というのも、数ある職業のうちの一部に限られた貴重な経験だと思います。
後書き
今回は感動したいい面を書きましたが、もちろんエンジニアには嬉しくない面もあります。また、それは職種だけでなく会社にもよるし、時代によっても個人の価値観にもよるでしょう。でも、先日私が得た感動は、例えば俳優なら映画に出演するような、ミュージシャン奈良誰かがCDを買ってくれたような、ある種の醍醐味を味わえた貴重な瞬間だったろうと思います。このときを迎えることができ、本当にしあわせです。
仕事してきて、ホッとする瞬間や安堵する経験は多々ありましたけれど、純粋に嬉しいと言うのはなかなか貴重でした。逆に言うと、こう言う瞬間をもっと増やせるような仕事を、あるいは仕事への取り組みをしていきたいですね。
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