2011/02/06
松下隆二先生公開レッスン(2011/2/6)
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松下隆二先生公開レッスン(2011/2/6 於:守口さつきホール)
福岡在住のクラシックギタリスト 松下隆二さんの公開レッスンを受講しました。昨年に引き続き二度目の受講にとなりました。曲や作曲者・時代背景に対する正確な知識に基づくレッスンは、今回も非常に勉強になりました。
私の受講曲は、"CAPRICCIO Opus 120"(Francis KLEYNJANS)です。
※あくまで、レッスンを通じた私の解釈・および感想です。
○大まかなポイント
・曲の先頭に書いてある指示、"mouvement perpetuelement"(常に動き続ける)は、一定のテンポで流れ続けることを要求していると解釈する。よって、特記してあるところ以外は、意識してインテンポで演奏する。無窮道と言う言葉もあるそうです。
・その分、Bien chante(Well sing)の箇所では、インテンポを崩してもいいから自由にしっかりとメロディを歌う。音が跳躍するところは特に丁寧に。
・メロディの減衰に合わせて、アルペジオの音も順に小さくしていく。あくまで旋律メインなので、アルペジオが小さくて聞こえないことを恐れず、聞こえなくても構わないくらいの気持ちで大胆に変化をつければよい。
・ハーモニクスのところは、低音がペダル音になっていることに注意して、しっかり出す。
→ペダル音は、旋律や和声が変化しているにも関わらず低音を一定にすることで、ある種の浮遊感を生み出す役目をする。この場合も、メインのメロディがハーモニクスに変化し、さらにペダル音をしようすることでふわふわした感じを作曲家は意識したはず。
・最後の方の"suspendre"(一時停止・つるし上げ)のところでは、一度きちんと音を切ったあと、さぁ弾くぞと思ったところからまだ少し我慢するくらいで。
○全体的なイメージ
・風景の中を主人公(主旋律)が速度一定で歩いていくイメージ。その歩みに合わせて風景(和音など)は目まぐるしく変化するが、それら全てに目を留めてピントを合わせていると、くどくなり全体も長くなってしまう。
・ハーモニクスの所は主旋律自体が透明になるので、逆に風景を鮮明に描写する。
・お客さんには全ての風景を提示して説明するのでなく、流れていく中に、「あ、こんな風景もあんな景色もあるな」と後から気づいてもらうくらいの、少々置いてけぼりにして歩いていってしまうくらいの感じ。全てを説明してしまうと、全体的にくどくなって疲れてしまう。
・しっかりと見せたいところには"rit"や"chante"の指示があるので、そこを特に大切に。
○その他
・mfとは、特に「大きく」とも「小さく」とも意識せずに、自然に(=緊張なしに)出せる音量と考える。f(フォルテ)では音が大きくなるので当然緊張をともなうし、p(ピアノ)も小さくする方向に緊張をともなって演奏する。
・rit.やフェルマータなどで間を入れるときに、いつも間を入れて練習をしていると、固定の間が初めからあったと錯覚して弾いてしまうようになりリアリティがなくなってしまう。そのため、日頃からインテンポの練習も行い、我慢できず間を入れて表現をすることで、新鮮味・リアリティを常に持つように意識する。
上記のようなアドバイスをいただいて演奏してみて、曲が一気に流れていくようになり、曲全体の長さは変わっていないはずなのに短くなったようにすら感じました。(これは、前に二つのワルツ(クレンジャンス)のレッスンを猪居先生に見てもらっていたときに、下手に加速や減速を使うよりもインテンポを意識した方が曲が流れる、と思ったときの感覚に似ています。)
イメージが今まで以上に明確になり、表現したいこともたくさん出てきたので、これからこの曲を弾くのがますます楽しみになりそうです。
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