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Farewell (S. Assad)

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世界を代表するギターデュオ アサド兄弟の兄セルジオ・アサドによる作品「夏の庭」より、Farewellを紹介します。



Farewellは元々fare, well と言う別々の2つの単語です。fareというと運賃と言う意味が思い浮かびますが、これは、fareが旅をすると言う語源を持つからで、旅に必要なもの、という観点から運賃という意味になります。「farewell」とくっつけることで、良い旅を=さようなら、と言う意味になります。
私事ですが、今年の5月に部署異動となりました。その後3ヶ月間お世話になった上司が今月末で退職されることになり、本日(もう昨日か・・)壮行会がありました。3か月。良いところを知るには十分に長く、嫌な側面を知るには短すぎる期間でした。この3か月、たった3か月ですが、この期間で学んだことを自分のために、そして会社のため、社会のために活かすことで恩返しをしていきたいなと思います。

盟友同士の信頼関係を描写する、私の大好きなシーンを二つ紹介します。願わくば、もう少し一緒に仕事をし、こんな風に安心して卒業してもらってもらいたかったな、と思います。


※1
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「なあに、大したことはねえ」
近藤は、苦痛に堪えていた。
これだけの傷で落馬しなかったとは、さすがは近藤であると歳三は、舌を巻いた。
「ーー歳よ」
と、近藤はいった。
「新選組を頼む」
「ああ」
歳三はうなずいた。多摩川べりであそんだ餓鬼のころからの仲である。ただそのひとことで、指揮権の移譲は済んだ。
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※2
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「それまで・・・死ぬなよ・・・・」
「さ、もう行き給え、ナルミ。僕は明日の朝、君たちが出発するまでここで読書をしていよう。」
「必ずだぞ!!ギイ、そん時にゃ絶対オレがぶん殴ってやる!!!」
「本当に君は無粋だなァ ナルミ・・・ 前にも教えたろう、こんな時には機知(エスプリ)を効かせてこう言うんだ。Bon Voyage 良い旅を。」
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旅立つ人の立場を慮って、卒業される方の涙を見て泣きそうになった歓送会はこれまでたくさんありました。しかし、純粋に別れを悲しんで泣きそうになった壮行会は初めてだったかもしれません。3か月間という短くも長い間ご指導いただいたTさん、ありがとうございました。また近況を笑って話せるときを楽しみにしています。

『超人は、たとえ言葉を話していても本質的には言葉を話さない。たとえ社会の中にいても本質的に社会的でない。デュオニュソス的肯定は、本質的に孤独な、そのような者にしかなされえない。超人は決して連帯しない。※3』しかし、私は超人ほど強くはなれない。全面的に自身を肯定できるほど自分を愛せていない。けれども、言葉を介して人と繋がることに安心するには、いささか懐疑的すぎました。なので芸術に、音楽に私の思いを託します。Farewell, so long..



※1 燃えよ剣 下巻 P110 司馬遼太郎、新潮文庫
※2 からくりサーカス 藤田和日郎 第41巻、小学館
※3 これがニーチェだ P193  永井均、講談社現代新書
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