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ガボット・ショーロ(ヴィラ=ロボス) 映画「マチネの終わりに」使用曲

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ガボット・ショーロ
Gavotta-Choro
作曲:Heitor Villa-Lobos



ブラジルの偉大な作曲家、ヴィラロボスによるブラジル民謡組曲より、ガボット・ショーロを演奏しました。クラシックの形式に南米の旋律とギターらしい和音が融合した素晴らしい曲です。第48回猪居ギター教室定期演奏会(2010/12/5)での演奏を紹介しています。お越しいただいた方、ありがとうございました。


「マチネの終わりに」にも使われた。


映画「マチネの終わりに」で、福山雅治扮するクラシックギタリスト牧野が演奏したことでも有名になりました。

※2020/2/29追記
「マチネの終わりに」を映画館で見た後、ANA国際線の機内サービスで再視聴する機会を得たので、気になったセリフや演出を巻き戻ししながら確認することができました。画像はANA機内AVoD(Audio Video on Demand)サービスのスクショです。※

とある事件で心に傷をおい、言い争いをする二人の女性記者。彼女たちに "Do you know what makes people smile the most?"(人を笑顔にさせるもの1番はなんだと思います?)と問いかけて食事を作る牧野。しかし牧野の食事は見向きもしてもらえません。

そこで、"What do you think, is the second best thing to make people smile?" (人を笑顔にさせるもの2番目はなんだと思います?)と問いかけた牧野が披露するのがクラシックギターの演奏、つまり音楽でした。その時の演奏曲が、この「ガボットショーロ」でした。本文とは関係ありませんが、ここは福山雅治/ 石田ゆり子ともに英語で演じていて、字幕が日本語になる箇所です。文章に「第5文型SVOC」と、「疑問詞が文頭に来る間接疑問文」が用いられていて、英語としてもいい勉強になりますね。



確かに穏やかで良い曲ですが、こんな緊迫した場面で弾く気には私はなれない。。と言うのは、この曲ね、いざ取り組むと案外やっかいなんですよ。

やっかいなところ① 譜読みが独特


これは本楽曲だけに限らずヴィラロボス全般ですけれど、譜読みが独特です。
ヴィラロボスの曲はギターの構造をとてもよく理解して、指の平行移動と開放弦をうまく取り入れているので、響きはとてもギターに合っていてかつ美しいのですが、譜面に起こすと見慣れないものになってしまうのです。この平行移動であってんのかホンマに?と問いかけながら和音を1つずつさらわないといけません。そして、基本はそれで合ってます。。(笑)

やっかいなところ② 繰り返しが多い


次に、繰り返しが多くて、演奏に気をつけないと長く聞こえちゃいます。
A - A' - B - B - A - A' - C - C - A - A' です(A: ニ長調、B: ロ短調、C: 嬰ヘ短調)ほら、見るからに多い(汗)。あ、くれぐれも、繰り返しが多いから駄目とか大変とか言うつもりは一切ありません。ただ、セーハも左手の拡張も多いこの曲を5分以上に渡って引き続けるのはら、単純にしんどいです(+_+)

ところで楽譜上はC(嬰ヘ短調)では反復記号の締めの記載がありません。嬰ヘ短調の始まりは明らかにリピートありだけど。。


終わりの方はリピートマーク無いのよ、この通り。抜けてるのか、意図的なのか。。




なので、解釈次第では、(A - A') - (B - B) - (A - A') - (C - A - A') - (C - A - A') とすることも可能です。繰り返しすぎてリハーサルマークですら意味がわからないので、便宜上カッコをつけてみました。こうなると演奏時間はもっと増える(滝汗)。これを逆手に取って(?)、最後のリピートを丸々省いてA - A' - B - B - A - A' - C - A - A' で演奏を終える方も多いです。私はCだけが1回になるバランスが気持ち悪くて、Cも2回弾いています。

繰り返しが多いと言えばアルハンブラ


トレモロの名曲として有名な「アルハンブラの思い出」なんかも繰り返しは多いです。A - A - B - B - A - B - Coda なので(A: イ短調、B: イ長調)。私なんかは演奏の際に、A - A - B - Coda か、場合によってはA - B - Codaにしちゃうこともあるくらい。このあたりは奏者の技量、聴く人の求めるところに応じて柔軟に使い分けてもいいところかと思います。もちろん少なくとも、タレガやヴィラロボスが作曲時に何を思ってリピートマークを付けたのか、そこに対する想像と敬意は必要ですけれどね。

ただし、このガボットショーロは、ニ長調部分もA - A' と変化するが故に、繰り返しを省きづらい。変に省くとB, Cとのバランス関係が崩れる、と言う俯瞰した際の別の悩みもあります。結局は、楽譜通りに全部弾く、そのために指の脱力あるいは強化をし、音楽的にも繰り返しがつまらなく聞こえないように仕上げるべきなんでしょう。その上で、リピートを省略しても音楽的に成り立つような提示をできればいいかと思います。

という訳で、演奏の紹介


そんなわけで、このガボットショーロを、「世界で2番目に人を笑顔にするもの」と紹介した上で、悲しみと怒りにくれる人にプレゼントするのは至難の業です。それでも映画が成立していたのは、演奏の完成度の高さ故なのかな、と思います。和音もリズムも確かに緊張と緩和の連続で成り立っていて、上手に弾けばこわばった心がいつの間にかほぐれていくのかもしれません。

その点、冒頭で紹介した自分の演奏時はもう9年以上前で、マチネの終わりよりもだいぶ前なのでセーフ!なはず。。同じ旋律の歌い方を変え、聞く人に飽きさせない演奏を心がけました。細かいミスが出てしまったことは残念で反省点ですが、「このフレーズはこう演奏したい」と言う部分に関してはきちんと打ち出せたと思います。

最近自分の演奏を客観視すると、「楽譜を読む」ことに注力しすぎて直感的に弾くことができなくなってきているな、と思うときがあります。その意味では、10年近く前のこの頃は、頭と心、技術のバランスがちょうどよかった頃かもしれません。頭でっかちになりすぎず音楽を楽しみ、また音楽を楽しんでもらえるようにこれからも練習をがんばりたいと思います。

詳しい曲想や演奏ポイントに興味を持っていただけた方は、レッスンメモの2010年10~11月あたりをご覧ください。


楽譜情報


ヴィラロボスの楽譜集としては、Frederick Noad編の全集が一番良いと思います。余計な改変がない。少し、というかだいぶ値は張りますが・・。いや、このボリュームとしては安いんですよ。安いんですけど、絶対額としては高め。収録曲は下記の通り。
・ショーロスNo.1
・ブラジル民謡組曲
  ・マズルカショーロ
  ・ショティッシュショーロ
  ・ワルツショーロ
  ・ガボットショーロ
  ・ショーロ(ショリーニョ)
・12の練習曲(エチュード)
・5つの前奏曲(プレリュード)

もしガボットショーロの楽譜をお求めで、上記が高すぎると思われる場合も、間違えず「ブラジル民謡組曲(Suite Populaire Bresilienne)」の収録されているものをお求めになられますようご注意ください。ビラロボスは楽譜の取り扱いが少ないため、お金をケチって「前奏曲集」や「ピアノ曲集」を購入すると目も当てられません。
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