本当は生音でみなさんの演奏を聞きたい。舞台の独特の緊張感の中で、皆さんの前で演奏を届けたい。あと打ち上げしたい。そういった思いはもちろんありますけれど、それらの本音を踏まえても今回のオンライン発表会は素晴らしい経験になりました。
今や世の中は、録画録音から動画投稿サイトへのアップロードまでスマホ1台で対応できる時代です。それらの動画をつなぎ合わせてどうなるのか、正直半信半疑なところはありました。しかし、実際に参加してみて、また皆さんの演奏を聞いていて、なんとも言えない感動を覚えたのです。
この日のために各個人が練習し録音した。ただその1点が、この動画に不思議な緊張感や統一感をもたらしていたのではと、後から振り返ってみて思います。オンライン発表会の日付が決まり、提出期限が定まる。その中で、みなが「どの曲にしようか」と考えアプローチを重ね、録音に挑む。
日付を切られることによる制約は、マイナスの面も多いでしょう。むしろ、各人が納得いくまで練習を重ね、録画をし直した結果の動画群の方が、質が良い可能性すらあります。けれども、限られた環境の中で生み出された愛好家による演奏は、私の心を動かしてくれました。
技術的に優れているとか拙いとか、表現が好きか好みじゃないとか、そんな表面的なことではなく。ギターを愛する人がギターを精いっぱい奏でる。それだけでいいのかもしれません。
今回の私自身の演奏は、練習不足が出てしまい褒められたものではありませんでした。けれど、この曲を演奏すると決めた以上やり遂げようと言うことで、今回参加させていただきました。曲間で中断をいれ、また撮り直しを繰り返せば曲の見た目の完成度自体は上げられたかもしれませんが、それは私が発表会に求めることではありません。
とはいうもののこれは多分に強がりでしてた。けれども、公開された動画で、自分の演奏が皆様の演奏からのリレーとして出てきたとき、あぁ、ミスのある演奏をそのまま出して、それもまた良かったかもしれない、と思いました。自身の練習不足を素直に認めたうえで、また納得のいく演奏ができるように精進したいと思います。
皆様と演奏で交流できる時が早く訪れることを祈念しています。
PS:
ご自身のことを「ノミの心臓」とおっしゃられて舞台で拝見したことがない方の演奏を、今回初めて見ることができました。とても素直で綺麗な演奏で印象に残りました。リアルな発表会が開催できないことが残念である一方、緊張が問題で人前発表を避けられていた方に新たな手段が提示されたことは、喜ばしいことのように感じます。
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