と偉そうに解説者ぶって始めたものの、私がクラシックギターをきちんと聞き始めたころから、コンサートや演奏会で拝見していては、「はぁ、うまいなぁ」とばかり思っていたため、正直なところあまりそれ以外の感想がありません。w
猪居謙さんの演奏では、羽衣伝説(藤井敬吾)やアクアレル(S.Assad)を生で見て、「あ、これ本当に人間が生演奏できるんだ」なーんて思ったのは覚えています。私がクラシック
ギタリストとしての言葉を持つ前から近くで圧倒されていた存在のため、彼を語る言葉をいまだ持ってないんですね。それでは一
ギタリストとして残念なので、きちんと言葉に昇華していきたいと思います。
まぁ、そんな風に昔から馬鹿うまかった(褒め言葉ですよ!)謙さんですが、ドイツはワイマールのリスト大学に音楽留学され、さらに研鑽を積んで昨年帰国されました。そして、福田進一さんのギターディスカバリーシリーズ第二弾として、今年の3月にCDデビューされました。
猪居謙「
ソナタ・ジョコーザ」
面白いのは、生演奏で出てくる空気感が、CDにもきちんとおさめられているところです。難曲を演奏する場合には特徴的なパターンがあって、(弾いていることを前提として)
①何とか弾いてはいる(見ていて心配)
②難曲のはずなのに簡単そうに弾く(自分で弾いてみると弾けない・・)
であることが多いですが、謙さんの場合は少し違っていて、
③難曲を難曲として、しかし優雅に軽々と弾く
という感じなんです。難曲としての荘厳さは解体しきらず、しかしそれが聞き手の精神的負担にならないところで華麗に飛んで行く。それが、舞台で見ると非常に気持ちよくわくわくするのですが、それはCD録音でも失われていないようです。言葉で言うなら、「sophisticated」って感じです。これは、「洗練された」と言った日本語ではなく、あくまで「sophisticated」と言いたくなる、その空気感なんです。伝わるかなぁ・・。
(全然うまくせつめいできていませんが汗汗)素晴らしいCDなので、ぜひ皆さんも一度聞いてみてください。個人的には、自分では弾きたくても弾けないハンガリー幻想曲(メルツ)が好きですね。あと、 ハープと影(ブローウェル)は、このCDで初めて聞きましたがなかなか面白く、これこそ生で聞いてみたいと思いました。いったいどんな世界観が広がるのか、CDだけではもったいない感じですね。
↓猪居謙さんのことをようやく自分の言葉で表現できたレピュー記事はこちらです↓
猪居謙CDレビュー
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