2020/02/06
[手工ギター紹介] 野辺雅史ギター
私が今主に使用しているギターは、この記事を投稿した当時から今も変わらず、野辺ギターです。正確には、野辺雅史さんのギターです。お父様の野辺正二さんも、すでに他界されていますが有名なギター製作家であられたため、単に野辺ギターと言うと混同されることも多いですが、私のは息子さんのギターですね。
その特徴は、下記元記事にもあるように倍音成分の少なさで、その結果として和音の分離性がよく、また遠達性にも優れていると感じています。「あしゃお君の演奏を聞いて野辺ギターを欲しいという人が何人もいるんだから、自分の音に自信持ちなさいよ」と私の師匠猪居信之先生がよく言ってくださります。お世辞とは言え嬉しいなぁ、と話半分で受け取っていましたが、先日、本当に「あしゃおさんの演奏を聞いて野辺ギターを買いました」という方に直接お話を伺うことができて、これはちょっと、本当に、だいぶめっちゃ嬉しかったですね!(どないやねん)
ギターが持ち手を育て、持ち手がギターを育てる。そんな好循環を今後も続けていけたらなぁ、と思っています。
ちなみに、私が張っているのはプロアルテ ノーマルテンションです。これまで、ドーガル社ディアマンテ ノーマルや、サバレス社ニュークリスタル・カンティーガなども試してみましたが、私の野辺ギター+私の弾き方とはあまり相性がよくなく、結局プロアルテを使用しています。
※以下元記事となります※
私が今使用しているギターは、
野辺雅史さんの2004年製作楽器です。
それまで使っていた桜井ギターは、大きないい音がするのですが、逆に繊細さには欠けるところがあって気になっていました。よく言うと「調子が悪くてもそれなりの音を出してくれる」のですが、悪く言うと「音を出したくないときも出てしまう」と言う感じです。どんなときでも桜井ギターの音を響かせてくれて、弾き手や弾き方を選ばないところがあったのです。
あるとき、ギター教室で上述のような話をしていると、先生が「こんな楽器はどう?」と、試奏用に教室に置いてあった野辺ギターを弾かせてくれました。相変わらずお金はないものの、「いい、欲しい」を連発していると、「そんなに気に入ったなら、お金貸してあげるから買いなさい」と・・
と言うわけで、先生のご厚意に甘えて購入したのが野辺ギターです。ギターの購入に関して、どうも私周りの皆さんに助け支えてもらってばかりのようですねf^^; (あ、もちろんお金は返しましたよボーナスで・・)
この楽器は、和音の分離が明確で、また音の遠達性に優れていると思います。しかし、決して大陸系の音ではなく、日本的な重さなり湿気なりを持った深い音がするんですね。非常に私好みです。
音の分離に関しては、製作家の野辺さん本人に聞いたところ、「倍音成分が多くなりすぎないように気を付けているので、それが分離のよさに繋がっているかもしれない」とおっしゃられていました。
この楽器を使うよになってから、和声の動きやバランスにそれまで以上に注意することができるようになり、「楽器に成長させられる」ことを実感できるようになりました。セゴビア編ソルのエチュード1番などは、この楽を使うようになって初め会て、表現すべきことの多さに気づいたように思います。
これからクラシックギターを始めようと思われる方は、是非音のわかる方と一緒に購入に行かれることをお勧めします。なぜなら、クラシックギターは、楽器によって左手の押弦のし易さも、右手の撥音のし易さも全然違うからです。また、一概に高価な物がいい音がするとは限りませんし、上手な人には扱えても初心者には音を響かせるのが難しい楽器も存在します。ぜひ、自分の気に入る音の出るギターを手にして、その響きを堪能してもらえたらと思います。クラシックギターの響きは、生で聞いてこそなんですよ!
「聞こえる音」が本当に全てか 人間の認識能力に関して考える#10/19 追記
このFCブログの「拍手コメント機能」と言うのを使用して、野辺ギターに関してコメントをくださっていた方がいたのですが、そんな機能があることを知らなかったためコメントに今日気づきました汗 さらに返信の仕方がわからないと言う滝汗
#コメント下さっていたKさん、すみません。もしよければ、メールをいただければ詳しく連絡もらいます(アドレスはプロフィールに書いています)。ギター選びのポイントについては、私が思うところは後日別に記事を書きたいと思います。
私の持っているの野辺雅史さんの最大の特徴は、本記事にも書いていますように「和音の分離性のよさ」です。不必要な振動はせず、単音の純粋な音を遠達させているイメージです。そのため、弾いたときに、奏者の手元では音はあまり広がりません。また、しっかりとしたタッチで弦を弾かないと音がなりにくいと言う難点はあると思います。タッチが不安定な状態でこの楽器を持っても特性を活かせないかも知れません。
音色自身は、素朴で暖かく、よい意味で日本的な湿気を持っていると思います。大陸的な乾いた感じとは違います。和音一つ一つを大切にして、ピアノを優しく奏でる、と言う弾き方に特に適していると思います。
対して、桜井は音が手元でも広がっていると感じます。タッチが多少不正確であってもある程度音がなりますので、アンサンブルで単音をメインで弾く場合などは桜井も十分適していると思います。
2010/9/20 初投稿
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コメント
管理人のみ閲覧できます
2014/10/09 14:47 by 編集
管理人のみ閲覧できます
2021/08/15 04:21 by 編集
Re: 1986年製 野辺邦治師匠の作品について
ラベル表示の内容は製作家によって様々で、型番(モデル名)を含む場合もあります。例えば下記桜井ギターでは、パリコンモデルカスタム品であることが明記されています。これが鑑定のしやすさに繋がるということかと推察します。
https://ameblo.jp/oudon09/entry-12687834585.html
私が持っている野辺雅史ギターでは、野辺さんの名前/サイン以外には製作年とシリアルナンバーしか書かれておらず、型番はわかりません。正二さんや邦治さんも同じかもしれませんね。もし雅史さんが邦治さんの台帳を引き継いでいれば、シリアルナンバーから何かわかるかもしれませんね。
2021/08/15 11:23 by あしゃお@管理人 URL 編集