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トレモロ奏法の上達に必要な、たった一つの練習ポイント スタッカートを意識して粒を揃える

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アルハンブラの思い出や最後のトレモロ、暁の鐘とトレモロの名曲は枚挙に暇がありません。そんなトレモロ奏法、響きの美しさに反して、要求される技術はレベルの高いものですね。白鳥が水面下で足をもがくがごとく。

今日は、トレモロ奏法を劇的に!改善するための、右手に特化した練習方法を紹介したいと思います。ここで紹介する考え方はトレモロだけでなく安定した右手を獲得するための助けになりますので、ぜひ参考にしてください。

考え方はプラント奏法とかセット奏法と呼ばれるものと同様で、その考えを取り入れてスローな動作からトレモロの練習を進めるものです。

楽譜通りの演奏


トレモロを譜面通りに演奏する場合は、下記のようになります。低音弦のpと高音弦のamiを順番に撥弦します。1弦より2弦の方が難易度が高いため、できれば最初から2弦で練習しましょう。



この場合の演奏は、下記の通り。これは残念ながら、よくない見本です。いや別に悪くはないけれど、特筆すべき練習にはならない。


これで弾ける人は、たぶんギターに愛されています。その才能を喜んでください。けれど、練習や演奏の発想としてはこの後の内容を意識されるともっと上達できると思います。では具体的な問題点はどこかと言うと、指が空中を浮いている時間が長すぎるのです。空中をさまよう、と言うことは、その後のタッチをミスする可能性が高くなることと同じです。この空中時間を意識的に短縮するために、スタッカートを用いた練習が非常に効果的です。


スタッカート練習用の譜面


具体的にスタッカートを用いた譜面は、下記になります。



ポイントは文字通り、開放弦のスタッカートです。スタッカートをさせるために何をするかと言うと、撥弦したら直ぐに次の指を弦に乗せるのです。例えば、aの音をだしたら、すぐに次のmの指を2弦上に乗せて、音をミュートする。次に、mを弾いたらiを乗せて、次の撥音まで待機します。これを、ゆっくりゆっくり練習してください。実際に音を出す前に弦に乗せる動作を、赤ペンで示しています。動画にするとこちら。



iを弾いたあとは、pの指を5弦に乗せます。pを弾いたらaまたすぐにaを2弦に乗せる。これを、自分のコントロールできる遅さで確実に行ってください。テンポ的には、1秒に1音とのレベルで構いません。と言うか、ゆっくりすぎるくらいからやらないと、結局うまくできないしミスも減らない。この練習ができるようになれば、速度を上げたときに粒が揃うだけでなく、ミスも激減するはずです。

こだわる余裕のある場合は、この指を弦に乗せる(弦をキャッチする、とも言います)際に、指の肉と爪との間に弦が来るようにするとよいです。爪と弦が接触する「チャッ」という音がしなくなり、また指の肉から爪に移動する「カチッ」という音やリズムのずれもなくなります。

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ワンランク上の練習


この練習をしているときに、pが所在なくて不安定だな、と思ったあなた!そう、その疑問は極めて正しい。この空中ブランコ感をなくすためには、pは5弦を弾いた直後に4弦に(あるいは6弦に)乗せてください。そうすることで、右手指とギターの距離が一定に保たれ、演奏の安定感がグンとまします。上の動画をよく見ていただくと、pの動きがわかりますが、念の為静止画像も置いておきます。下図は、4弦にpを乗せる例になります。



pを5弦に持ってくるタイミングは、iで2弦を弾いた直後です。このテクニックを応用すると、無駄な低音弦の響きを消音することもできます。ミスが減るだけでなく響きもスッキリする、とても重要な技術です。

テンポを上げる際の注意点


ゆっくりのテンポでこの動作ができるようになれば、後は少しずつテンポを上げて、「一続きの音」に聞こえるようにしていきます。この時の注意点です。
・あくまで少しずつテンポを上げていく
・音を大きく出そうとしない
テンポを上げると指の振り抜き速度が上がり、それにつられて気付かないうちに音が荒くなることがあります。けれど、同じテンポの1音と比較すると、トレモロ奏法では3倍の音数を出しているわけです。1音、1音を通常の発音と同じように出そうとすると、3倍の音量を常に出そうとしてることになりますからね。音を大きく出そうとしなくても、十分な音を出せている場合も多いです。大きな音を出すな、というわけではありませんけれども、大きな音を出そうとするよりはレガートな音の繋がりを重視した方が、結果として聞きやすいトレモロになる考えます。

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あとがき
ギターの練習は大別すると2つに分けられると考えます。1つは全体の流れや構成、また音量のダイナミクスや音色の変化に関するもの。もう1つは具体的な指の動きに関する技術的なもの。前者は、楽譜を読んだり頭で考えたりすることでレベルアップが計れます。後者は、なるべくゆっくりのテンポと部分的な反復練習を組み合わせることが上達の肝でしょう。急いでただただ曲を演奏することは、上達のためには遠回りどころか逆効果である、と言うことを理解して適切な練習を取り入れましょう。

さらに一言、池田慎司先生の印象的な言葉をお借りすると、「どんなテンポでも曲を成立させる表現を心がける」ことも大切かと思います。トレモロ奏法と言うものは、ある程度の速度がないと一続きの音に聞こえにくいと言うのは確かに一つの事実はあります。けれどもその一方で、トレモロ曲を歌心を持って奏でられる人は、とてもゆっくりなテンポでも美しくその曲を奏でられるはずです。技巧的に必要なスキルと、曲の表現に必要な解釈は、不可分な面と分けて考えるべきところとの両面性があるのではないでしょうか。


本稿では、トレモロ練習をゆっくりなテンポで、スタッカートを意識することで撥弦を確実にする方法をお伝えしまた。

あと、大事なことを書き忘れていました!くれぐれも、腱鞘炎のような怪我にはお気をつけください。特に、セット奏法に慣れていない方が無理に右手を弦の上に固定しようとすると、リスクが高まります。手はそっと添えるだけで十分安定しますので、ガチガチになった状態で練習し故障の原因とないようにしてくださいね。

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クラシックギターのための、腕・手の脱力方法

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コメント

No title

こんにちは。
「トレモロ」「コツ」で検索したところ、このサイトにたどり着きました。
勉強になります。ありがとうございます。
確認なんですが、実際にスタッカートする音は、aとmの2音で良いんですよね?
よろしくお願いします。

Re: No title

wardell様
ご訪問ありがとうございます!

はい、ご賢察のとおりで、実際に切る音は高音弦3音のうちの1つ目と2つ目のみです。
ドゥータッタッタードゥータッタッター
みたいな感じです。ドゥが低音……。

あくまで練習時の話ですので、右手のコントロールが向上すれば、ご自由に表現を変化させてくださいね。

ありがとうございます

あしゃお様、ありがとうございます。
さっそく練習に取り入れました。
スコット・テナントのパンピングナイロンにも、同じような練習方が書いてありますが、あしゃお様の方が、より実践的ですね。
p指の使い方とかも、すごく勉強になります。

それと、お願いになりますが、アポヤンドでの速弾きの記事をリクエストします。

気長に待っていますのでよろしくお願いします。



Re: ありがとうございます

wardell様

あのテナントと比較されるのは恐れ多いですね、、けれども参考になったようで嬉しく思います、ありがとうございます。

速弾きは私も苦手なので、こうすれば出来る!と言うのは書けないかもしれません。けれど、そんな私が考察する速弾き論ももしかしたら誰かの役に立つかも知れないですね。1度、考えてみます。リクエストありがとうございます。
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