単純に定義するならば、簡単な曲=譜読みがし易い曲=音数の少ない曲 と考えがちかも知れません。しかし、実際にはことはそう単純ではないですね。例えば、大編成のアンサンブルでたった一人が唯一ヶ所だけ音を間違えたとしても、これは耳の肥えた人でないと気付かないでしょう。もちろん音にもによりますけど、残念ながら私は気づけないのではないかな。これに対して、バック演奏なしで一人で歌う歌手は、一ヶ所音程をはずしてしまうとみんなにばれてしまいます。同じ事がクラシックギターの演奏にも言えるのではないでしょうか。
簡単な曲は、簡単なようで実は難しい
もっとも簡単な曲は、極端に言うと一つの弦で単音によりメロディを奏でるパターンです。これは確かに譜読みをし、音を出すのは簡単なのです。しかし、ミスをごまかすことができません。少し音がビビった。リズムがズレた。これが、聞き手にダイレクトに伝わってしまいます。
音の単純さに比例して演奏失敗時のリスクが増大していると言えます。もっと言うと、曲の表現などもごまかせませんね。音が単純であればあるほど奏者の技量が明確になると言うことができます。
難しい曲は、案外ごまかしが効く
これに対し、複雑な和声が早いリズムで続く曲では、ちょっとしたミスは致命傷になりえません。リズムとテンポがキープできれば、聞き流してしまえます。音数の多さによって演奏失敗時のリスクを下げることができます。また、弾けているだけですごい、と言うインパクトが与えられますので、実はその分演奏者にとって有利と言うこともできます。
上達への近道は、難曲を新しく弾けるようになることではない
ギターをやっていて色んな複雑な指の動きができるようになってくると、いわゆる「難曲」への挑戦が楽しくてしようがなくなりますよね。次は魔笛をやるぞ。今度はフォーコに挑戦しよう。15年前の私が正にそうでした。けれども、それは得てして、「今できないこと」を新たに出来るようになる、一足飛びの挑戦になりがちです。それよりも、「今できていることの精度を上げる」「弾けている曲の表現を豊かにする」と言った、少しずつ出来る範囲を拡げていく練習の方が、結果として上達の近道になるのではないでしょうか。
音数の少ない曲を「簡単な曲だ、レベルの低い曲だ」と断罪するのでなく、それらをどうやって料理するかを考える。これこそが、実はさらなるレベルアップへの隠された道かも知れません。簡単な曲こそ、繰返し練習し、また、耳の肥えた人に聞いてもらうことが大切だと思います。この記事で挙げている曲は、譜読み・運指はそこまで難しくないと言う意味で、初心者の方にお勧めできる「簡単な曲」であると同時に、最近難曲ばかり弾いていて伸び悩まれている方にこそお勧めしたい曲となっています。初心に返ることはいつでも重要ですね(と自分に言い聞かせる・・)
後書き
いつものことですが、じゃ偉そうなこと言ってるお前(=あしゃお)はどうなんだ、どの立場で言ってるんだ、って内容ですね(f+_+) ただそこは、無知の知とでも言いましょうか、こう言う視点は持ってるよと言うところです。少なくとも、私は上に挙げたような曲目を定期的にギター教室のレッスンで見てもらい、もっとあぁしよう、ここはこうしないと、てな助言をもらって、ギターの奥深さと底知れなさを楽しんでいます。
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演奏・練習のコツ2012/1/15 初投稿
2019/9/12 加筆修正再投稿
2020/4/13 動画リンク追加
2021/4/21 曲目追加、動画リンク追加
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コメント
No title
この間は質問にお答えいただいてありがとうございます。
そして、楽譜をいただいた「Hey和」はまだ完ぺきとは言えませんが弾けるようになってきました。改めて感謝です。
麻尾さんのYou Tubeを見ていて麻生さんが弾いている押尾コータローさんの「風の詩」がとても気に入りました。なので楽譜を買おうと思うのですが、麻尾さんが弾くあたり使っていた楽譜は なんですか?教えて下さい。
2012/02/04 22:47 by らあや URL 編集
Re: No title
コメントありがとうございます。
風の詩はDramaticに収録されていて、楽譜はドレミ楽譜出版から押尾コータローさん監修で出ていますよ。私が演奏をアップしている「プロローグ」もこの曲集に収録されています。
クラシックギターらしい響きを活かしたいと思っているので、私の演奏ではタブ譜で指定されているのとは違う運指をしているとこるが結構ありますが f^-^;
いい曲なので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
2012/02/05 23:06 by あしゃお@管理人 URL 編集