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クラシックギターで大きな音を出すには?音量問題を考える。

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クラシックギターと言う非常に繊細な楽器。その魅力の1つは、間違いなくその音色の暖かさ、柔らかさです。そんなよさに気づいたあなたは、逆に音量の小ささや持続性のなさを不満に感じているかもしれません。そんなあなたがギターに関して再考するきっかけになれば幸いです。

下記考察は多分に思考実験の側面を含みます。私はクラシックギターの繊細さが好きなので、完全に生音派です。無理に大きな音を出そうとするよりも、小さめの会場で耳を澄ましたい。そんな魅力も伝えられたら幸いです。ではどうぞ。

あなたのギターはあなたの要求に応えられるか


まず1番初めに確認しなければならないのは、「あなたのギターの最大音量を確認する」事です。アポヤンドの押し込み方や、アルアイレのフォーム。そう言った現実的な課題以前に1度考えるべきこと。それは「できうる限り大きな音」を出してみたときの音量が、あなたの希望する舞台での音量に足るかをチェックすることです。

方法は簡単です。あなたの手持ちのギターを思いっきりかき鳴らしてみてください。あ、近隣の方の邪魔にならないように気をつけてね。その音量は、期待に足りましたか?生音を前提とするなら、東京ドームでのコンサートはどうやっても実現できないことがわかるでしょう。あなたの普段の演奏は、この「かき鳴らした音」と「弾いていない」ときの間の音量です。それ以上にもそれ以下にもなりません。この絶対的な事実を認めた上で、自分のアプローチを決めていくことになります。

アプローチは大きく4つです。
①音響装置(マイク/ スピーカー)を使う
②大きな音が出るギターを入手する
③大きな音を出す練習をする
④大きな音が必要、と言う思い込みから解放される

それぞれを順に見ていきましょう。

①音響装置(マイク/ スピーカー)を使う


クラシックギターを使う限りにおいて、1万人規模のコンサート会場で生音を届けることはできません。もしあなたが弾き語りでドームコンサートをしたい、そのときにクラシックギターを使いたい。そんな夢を描いているならば、いかに上手にマイクとスピーカーを使うか、その方法を検討すべきです。4,500人規模のコンサートホールだと、クラシックギターの生音でも聞こえるのではないか・・。それはそもそもの前提が逆でしょう。現状のクラシックギターの生音で演奏を楽しめるサイズがそのようなサイズの会場であった、と考えるべきです。

あなたが、クラシックギターを手段として選ぶけれども、ホールサイズは1,000人、2,000人、いやもっと、、と期待するのであれば、初めから音響機器を使うことを検討すべきです。それ自体はなんらおかしなことではありません。しかしもしあなたがクラシックギターの生音にこだわる理由があるならば、その音量の方に合わせて会場の規模を選ぶ必要が出てきます。それに気づくためにも、最初に述べた「かき鳴らした音」で音量が足りるのか、と言うのは1つの思考実験として有効です。


②大きな音が出るギターを入手する


いや、私はやはり生音が好きだ。しかしもっと大きな音が欲しい。この場合は、大きな音が出るギターを入手するしかありません。そもそもギターは19世紀ギターと呼ばれる音量が小さめのギターから、トーレス型と呼ばれる音量の大きなギターに変化してきました。そして今、ダブルトップギターやラティスギターと呼ばれる新世代の大音量ギターが登場しています。

これらのギターを使いこなすには、そのダイナミクスを活かすための新たな技術も必要となります。よって、あなたが求める活躍の場で大音量が必要であれば、それを入手し練習する必要があります。

補足として、下記記事をご覧ください。ギターの音量とホールのサイズ、それら鶏と卵の関係とも言うべき内容に関して考察しています。以下、すべてのリンクは、本投稿を保持したまま新しいウィンドウ(タブ)で開くようになっています。

○ダブルトップギター、ラティスギターの考察を通じ、ギターに必要な音量に関して考える。
https://asao-guitar.com/blog-entry-295.html
大音量って魅力的だけれど、ダイナミクスも豊かにしたい。音量に対するアプローチを、1度じっくり考えてみましょう。

○タレガフォームとサロンの時代
https://asao-guitar.com/blog-entry-274.html
ギターがあってホールの容量が決まるのか、それともホールの容積に応じてギターの音量を合わせにいくのか。といった話。

③大きな音を出す練習をする


①②で述べたような、クラシックギターの限界を知った上で、ようやくその上限に到達するための練習が意味を持つようになります。後は、いかに指のエネルギーを弦に伝えるか。弦の振動をギターで共鳴させるか。こう言った技術の話になります。これら具体的な技術論に関しては、実際に対面でのレッスンが効果的ですので、ここでは詳細を省きます。ぜひギター教室の受講を検討してみてください。生音には叶わなくとも、最近は動画での優れたレッスンも増えてきました。繰り返しになりますけれど、それらのレッスンで得られる音量は、基本的にじゃがじゃかでかき鳴らした物理量よりも大きくなることはありません。

では、「ここで基本的に」と述べた理由はなんでしょうか。それが次項で述べる内容になります。

④大きな音が必要、と言う思い込みから解放される

「物理的に大きな音」と、「多くの人に伝わる豊かな音」は、必ずしも一致しない。大きな音など不要だ…この基本的価値観の変換こそが、ギターで必要十分な音量を得るための最後の一手です。大きな音を求めるのではなく、心地よく響く音を追究するのです。

こう言うことを述べると「エセ科学だ」と責められることもあります。けれど、科学的ってどういうことでしょうね。人間の認識能力に関して考える定量化出来ないことは否定されがちだけれど、別に「自分の感覚」って言う説明できない何かを信じてもいいんですよ。そう言うお話を下記で述べています。

○「聞こえる音」が本当に全てか 人間の認識能力に関して考える
https://asao-guitar.com/blog-entry-303.html


相撲取りが相撲で勝つ方法をご存知でしょうか?まずは自分が強くなること。あるいは、相手を弱体化されること。さらには、自分に有利なようにルールを改変すること。それに加えて最も強力な一手は、勝つことすら放棄し、「相撲に勝つことは悪いことだ」と価値観を転換させることです。

「体が大きく力が強いものは相撲が強いに決まっている。強いものが弱きものを力でねじ伏せることなどあってはならない。弱きものこそが真の勝者である。」このような価値観の転回には、文字通り土俵をひっくり返す可能性があります。
 
あなたが「大きな音」を臨む理由はなんでしょうか。小さいとどのような不都合があるでしょうか。他者の価値観や取り決めから解放され、自分が大切にしたいことを見極める。そのような試行錯誤により、少しずつ自分の演奏に自信が持てるようになります。

私見になりますけれど(私見しか語っていないですけれど、、)、多くの場合演奏に必要なのは、絶対的な音量の大きさではなく、相対的な音量の変換: いわゆるダイナミクスではないかと考えています。無理に大きな音を追い求める前に、自分がギターで表現したいこと、ギターの魅力をどこに感じているかを見つめてみてください。

下記に、私の思うクラシックギターの魅力に関する考えや、音量表現をするためのヒントを投稿しています。

○クラシックギターの魅力 ~消えゆく音の美しさ~
https://asao-guitar.com/blog-entry-61.html
クラシックギターの欠点とも思われがちな、「音が持続しない」と言う特徴。それは、クラシックギターの一番の魅力なんです。

○子供のピアノの発表会を見て感じた、ピアノとギターの違い
https://asao-guitar.com/blog-entry-321.html
私はギターが好きだけど、ピアノってやっぱりすごい楽器だ。そこから翻って、やっぱりクラシックギターっていいなぁ。

○クラシックギターにとってのクレシェンドを考える https://asao-guitar.com/blog-entry-310.html
撥弦楽器であるクラシックギターでは、どうやってクレッシェンドをかけ音量を大きくするのか、と言う難題を1度考えてみましょう。

○ギターは小さなオーケストラ その真意は「音を止める」ことにある
https://asao-guitar.com/blog-entry-370.htm

ギターがオーケストラに例えられる所以、それって音色の豊かさよりは、消音するかどうかにかかってるのではないでしょうか。


○マチネが始まらない 話題のあの映画を見ていないおっさんの呟き https://asao-guitar.com/blog-entry-336.html
映画館で大音量でギターの音楽を聞くって、ものすごく贅沢で、クラシックギターの捉え方を根底から覆す可能性を秘めているのでは。
※年が明けてから見ましたよ、よかったわ~~※

あとがき
クラシックギターはとても素晴らしい楽器ですけれど、残念ながら音量の面では少し見劣り(聞き劣り?)します。とは言え、そこはアバタもエクボ。無理に大きな音を出そうとするよりも、他に努力の方向性があるように感じています。
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