19世紀ギターから現代のギターへ、そしてコンサートホールへ
タレガが活躍したのは19世紀後半です。19世紀に活躍した、クラシックギターを語るに欠かすことのできないもう一人の人物といえば、それはアントニオ・トーレスです。それまでのギターからサイズを一回り大きくすることで、音量も大きくなりコンサートホールでの演奏にも耐えうるようにギターは発展していくのです。彼の起こした革新による影響は、トーレス以前のギターが19世紀ギターと呼ばれることからもうかがい知ることができます。
タレガが愛したのが、このトーレスのギター。そして、トーレスにより改良された現代型のギターを手にタレガの残した曲を演奏し、ギターがコンサートホールで通用することを世界に証明したのが、かのアンドレス・セゴビアです。いずれもスペイン出身である彼ら3人の生没日を並べると、そのバトンの渡り方に感銘すら覚えます。もちろんそのストーリーの中には、リョベートやプホール、ラミレスにハウザーと言った面々が登場するのでしょう。
Antonio de Torres, 1817年6 月13日 - 1892年11月19日
Francisco Tárrega, 1852年11月21日 - 1909年12月15日
Andrés Segovia, 1893年 2月21日 - 1987年 6月 2日
セゴビアの時代になって、やっとクラシックギターはスペインの民族楽器からクラシック楽器としての地位を獲得、それとともにコンサートで大勢の観客に聞いてもらえるものへと変貌していきます。そんな変化を経た現代に比較して、上記二枚目の写真に写るようなとしてタレガの時代では、大きな音量が必要な場面はセゴビア以降よりも少なかったはずです。そんな環境では、彼のフォームでも手に過度な負荷をかけることなく演奏ができていたのではないでしょうか。いや、むしろタレガのことです、研究の成果として、あのフォームが最適だ、との信念で演奏していたことと思います。
ちなみに、じゃぁセゴビアのフォームはどうなんだ、というと。写真により違って見えたりもするのでなんともですが、タレガほど手首は曲がっていない、というところかなぁと思います。まぁ、彼の場合は手の圧倒的なゴツさの時点で、他人が真似できる類のものではないように思います。というのは、考察の逃げでしょうか(汗)。
※2020/1/17追記
セゴビアはタレガのフォームと同じで手首が曲がる、右親指(p)が橈骨の延長に来るフォームだ、という解説を先日どこかで目にしました。実際のフォームとしても、タレガ~リョベート~セゴビアと言う系譜で考えても、タレガのフォームと基本は同じだ、と言う話でした。出典を忘れてしまい明記できずに申し訳ありませんが、こちらも参考にしていただければと思います。※
舞台に応じた演技を
映画俳優を目指している人に舞台俳優の演技を教えると、それは大げさすぎて浮いてしまいます。逆に、舞台の上で映画俳優のように表情の変化を細かく表現しても聴衆には伝わらないでしょう。両方で活躍している人がいるって?その人は、映画にでるときと舞台に出るときで、表現を使い分けているはずです。さらには、両者で体の使い方はもちろん、身体的負担にも当然差があります。どちらがよい、悪いではなく、自分がしたいのはどちらなのか、自分が立つであろう舞台はどこなのか、を考える必要があります。
自分の音やフォームを考える際には、これらの立ち位置をわかった上で進めていく必要があるのではないでしょうか。「大きな音こそがいい音だ」「タレガ先生のフォームが正しいに違いない」「○○さんの爪の形はこうだった」 こういった思い込みが、演奏の幅を狭めるだけでなく、結果として手の故障を誘発してしまったらこんなに悲しいことはありません。右手のフォームの話に立ち返ると、最も大切なことは手を傷めないことです。腱鞘炎等に気をつけ、怪我なく演奏生活を楽しみましょう。
PS: この記事書いてて、おふくろの誕生日がタレガと一緒だと気づきましたw 羨ましいな~
- 関連記事
-
コメント