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1979年の雑誌に載っていたギター通信教育の煽りが面白すぎたので、書き起こしてみた

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先日用事があって実家に帰った際、昔懐かしいギター教則本を借りて帰ってきた。私が生まれるより前に父親が買っていた、『NHK ギターを弾こう』 1979年版である。私が物心ついた時には、すでに家にクラシックギターが転がっていた。その父親のクラシックギターでもっぱら吉田拓郎を弾いていたのだが、このギターを弾こうだけは少し手を出した記憶がある。初めてのギターで初めて弾いた楽譜が、このギターを弾こうなのだ。



値段がいくらだったのか非常に興味があるが、定価のところがちょうど破れて見えないのはご愛敬。。さて、この本の何が面白いって、その巻末についていた、東京音楽アカデミーの広告が凄いなのだ。まず、デカデカと「コード知ってる程度じゃギターを弾くとはいえない」と書いてある。そうか、吉田拓郎をジャンジャン弾いていたつもりだったが、あれはギターを弾くとい言えたものではなかったのか。それどころか、フォーク歌謡曲はヘソが茶を沸かすとまで書いてある。いやいや、煽りすぎでしょ。

※同じ本をお持ちの愛好家の方から、定価は260円だったよ、とお教えいただきました。この繋がりが愛好家間の醍醐味ですねぇ。情報ありがとうございました。※

というわけで、せっかくなので全文を掲載(引用)したいと思う。なんというか、ものすごく70年代感満載ではないだろうか。『○○クン』とか『だぜ』とか。いや私80年代生まれだから知らないけどさ・・。
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コード知ってる程度じゃギターを弾くといえない


 若者なら3人に1人はギターを弾ける。確かにコードを覚え、リズムのキザミかたさえマスターすれば、何とかサマになる。一ヶ月も練習すれば、簡単な曲は弾けるようになる。
 だが、その程度じゃギターが弾けるなんていえないのだよ。男ならまだまだウマク弾こうじゃないか。アイツと差をつけようじゃないか。女のコにいいカッコしようじゃないか。
 まだまだウマクなる方法があるんだぜ。もしキミがギターを全く弾けなくても、たちどころに上達する方法があるんだぜ。


フォーク歌謡曲はヘソが茶を沸かす


 高校に進んだ中村クンが、親友になった樋山クンの家に遊びに行ったところギターがある。樋山クンはこともなげに『マラゲーニャ』を弾いた。
 中村クンは驚いた。
「お、おまえ、ギターを弾いてどの位経つんだ」
「一年くらいかな。去年の夏に買ったからな」
「で、で、どうやって練習したんだ。先生に習いに行っているのか」
「いや、別に。ただ通信教育で練習してるんだよ。お前もギター弾くのか」
「べ、べつにそうじゃないけど、お前があまりにウマいもんだから。それで、フォークなんか弾けるのかい」
「そんなの。ヘソが茶を沸かすよ」
 そういって、樋山クンは『心もよう』や『シクラメンのかほり』などを弾いてくれた。

クラシックの名演に美女も熱い視線を


 そこで中村クンが通信教育で学び始めたかというとそうではない。彼はまだ半信半疑だったのである。「アイツに出来ることなら俺にも」と思ったが、早速実行できるものでもない。市内のギター専門店に行って、フォーク・ギターの教則本を買い、コードを覚えた、必死の努力が実り、一ヶ月練習したら、フォーク歌謡曲と一応こなせるようになった。自信がわいてきた。冬休みが来る頃には、コードさえわかればどんな曲でも弾けるようになっていた。
 年が明け、クラスの仲間が集まって新年会を開いた。「ギターがウマい」ってんで、樋山クンの家に決まった。中村クンもこの日を待っていた。
「俺だってギターが弾ける。主役になれるんだ。この日のために指にタコが出来るほど密かに練習してたんだ」
 雑談も頂点を過ぎたころ誰からともなく「一緒に歌おうや、樋山クン、ギター弾いてよ」ということになった。
 樋山クンの伴奏で、拓郎を陽水を小椋佳を、さらに百恵ちゃんからビートルズまで歌い出した。中村クンは心の中で、「コードさえあればオレだって」と思ってたところ、樋山クンは違う曲を弾き出した。クラシックだ。座がシラケると思いきや、皆シーンとして聴き入っている。
 クラスでとびきりの美人・小林和代さんまでが熱い視線を投げかけている。ここに至って、中村クンはやっと敗北を認めた。「コードを覚えてジャンジャンかき鳴らすだけではダメなんだ。ギターを弾けない者の中では目立つかもしれないが、さらにもう一歩深いところまで弾かなくては」
 中村クンは『アルベニスのグラナダ』『アルハンブラの想い出』などを弾く弾く樋山クンの指先をうつろな瞳でながめるばかりだった。

目と耳で知らず知らずにマスター


 でも、今の中村クンはハツラツしている。その後、樋山クンにその秘密を教えてもらいひとかどのギター奏者になっている。ギターでもむつかしいといわれるフラメンコ奏法もかなりマスターしているのだ。フォーク、歌謡曲なんてお茶の子さいさい。コードを知らなくても、ほとんどの曲を弾けるという。
 さて、中村クンが樋山クンに教えてもらった秘密とは――。東京音楽アカデミーの通信教育なんだ。面倒くさいオタマジャクシも馴れてみれば簡単。わかりにくいリズムも、ちゃーんとレコード盤が付いているので、目と耳の両方から覚えられるから上達も早い。
 教授陣もすごい人達ばかり。日本ギタリストの第一人者、小原安正氏、『禁じられた遊び』で知られるナルシソ・イエペス氏、さらに、ベルギー国立音楽院教授のJ・ゴンザレス氏、ウィーンアカデミーのL・ワルカー教授と錚々たるメンバーがズラリ名を連ねている。
 樋山クンや中村クン同様、この講座で学んだ人の数は三十万人を超えるという。
 何でもそうだが、独学は至難の技。ところが同じ独学でも、レコードを聴きながら、楽譜を読むと、たちどころに理解できるし、自分の苦手な弾き方も耳で覚えて、レコードと同じ音を出せるようにすればいいんだから、知らないうちにマスターできるシステムになっているのだ。
「ただし、ヤル気がなくては絶対にマスターできません。あくまでのギター上達のための教材ですから途中で投げださないことです。くり返し練習するうちに、昨日はうまく弾けなくても、今日は不思議によく弾ける、そういうシステムになっているので、あせらずに続けることです」と同学院の教授の一人、中林淳真氏。
 確かにそうだろう。ヤル気がなくては何ごとも成就しない。ヤル気があっても楽譜だけの独学ではマスターしにくい。
 ヤル気のあるキミ。内気なキミ。いまこそギターにアタックしようではないか。もはやコードだけ知ってギターを弾けるという時代は終わった。何ごとも敵に差をつけることだ。そこから自信が生まれるし、新しい世界が広がる――。
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『新しい世界が広がるーー』じゃないよ!ヤル気があったからって、ギターを始めて一年でマラゲーニャをこともなげに弾けるようになんかならないよ!場がシラケずに複数の曲弾き続けてみんなシーンと聞くって、お前はプロか!クラスにとびきり美人の小林さんなんていなかったよ!というかオレ男子校だったよチクショウ!『フォーク・歌謡曲なんざお茶のこさいさい。コードを知らなくても、ほとんどの曲を弾ける』ってどうやって弾いてるんだ!樋山クン、ぜひその秘密を俺にも教えてくれ!

つーかギターがウマいってんで樋山クンの家に集まったのに、『オレだって主役になれる』 『コードさえあればオレだって』って考えてる中村クンはどこか考えが甘いと言わざるを得ない。そんなことをウジウジ考える前に、親友の樋山クンとはもっと早くギターのこと語り合いなさい。というか、一ヶ月でフォークを一応こなせるようになり、半年でコードさえわかればどんな曲も弾けるようになってる中村クンも十分化け物です。あなたはすごい。あとWalker女史は首元どういう服着てるの??小原先生だけギターの絵が明らかに手抜き、というかフォルムがクラギじゃなくてアコギに見えるんですけど。

というわけで、読んでるキミを勝手に内気認定し、フォークやってる人に全方位で牙をむく東京音楽アカデミーの広告があしゃおは大好きです。ちゃんちゃん。若者なら3人に1人はギターを弾ける時代また来てほしいな。

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