結論: USBマイクをスマホにダイレクト接続すべし
外部電源を必要とするコンデンサマイクの方が音がいい、という前提でこの内容は書かれていることもご了承ください。(私はギター好きのガジェット好きですが、録音環境マニアではありませんので、そのあたりの原理や考察は他の方に任せます。)さて、私の推奨は、USBマイクを直接Android端末に挿して使用する方法です。USBとはUniversal Serial Bus(ユニバーサルシリアルバス)の略で、その名の通り「ユニバーサル:普遍的な、汎用の」規格です。なので、USB規格に則った機器同士であれば動作する、というのが本来の強みです。しかし、ことUSBマイクに関して動作対象に「アンドロイド」と書かれているものをほとんど見かけません。Apple社がiOSおよびデバイスを一元管理しているのに対し、多数の企業がデバイスを販売するアンドロイド製品は動作保証が難しいという点が如実に表れているようです。
外部入力に対応した録画アプリが必須
アンドロイド端末には厄介な点がもう一つあります。2020年5月現在、アンドロイド端末にプリインストールされているカメラアプリでは内部マイクを使うように設計されており、かつ外部マイクへの切り替えができません。そのため、外部入力を選択可能な動画撮影アプリを使用する必要があります。
外部入力を選択できるアプリとしては、"Open Camera" が最有力のようです。私も漏れなくこのアプリを使用しており、いまのところ不満を感じず使用できています。逆に言えば、「USBホスト機能を有し」、かつ「Open Cameraを使用する」ことができれば、アンドロイド端末でも問題なくUSBマイクを使用できる、と言うことです。Open Cameraの操作方法は
本記事最後に記載しています。SkypeやZOOMなどのビデオ通話アプリも、デスクトップ版ではマイク入力切替ができますが、アンドロイドでは2020年5月現在対応していないようですのでご注意ください。
構成および概要
本稿で提案する構成案は3つ、その中で最初に述べたようにUSBマイクを使う構成案①が最もお奨めです。
①
スマホ本体+USBマイク(お奨め)
・スマホ本体:USB OTG対応(USBホストになれること)
・USBケーブル、必要に応じてUSB変換コネクタ
・USBマイクにはスマホから給電
②
スマホ本体+外部電源供給機器+4極端子・スマホ本体:4極3.5mmジャック
・オーディオインターフェース:マイク給電用
これは、安価に済ますならTASCAM社製iXZ 一択のように思います。
③
スマホ本体+電源不要なマイク・スマホ本体:4極3.5mmジャック
・電源不要なマイク(プラグインパワーマイク、電池駆動マイクなど)
それでは、順番に各構成の詳細を見ていきましょう
クラシックギターの印象が変わる!オススメのカッコいいソロ曲 7選①スマホ本体+USBマイク(お奨め)
USBマイクを購入し、それを直接スマホに接続するパターンです。取り回しの楽さから、これが最もお奨めできる組み合わせになると考えます。
構成図

メリット
・必要機材が少ない
・ノイズが少ない
・コストパフォーマンスが良い
デメリット
・スマホのOTG対応事前確認が必要
・ハーネスやコネクタの選定中に不安になる
・動作確認に失敗するとマイクが文鎮化する
予算
・USBマイク次第だが、1万円~1万5000円程度
USB OTG(On-The-Go)対応の確認
スマホに対して直接USBマイクを接続し、スマホから動作認識および給電を行います。動いてしまえばこれが圧倒的に便利。まぁデメリットは、モノを購入して動かすまでのもので、いったん動作に成功すれば本構成が圧倒的によいです。USB OTG(On-The-Go)に関しては、下記サイトで簡潔にまとめられています。これまではデバイスがホスト(親)かクライアント(子)かを事前に決めていたのを、誰でも親にも子にもなれるようにしておいたら便利じゃない?という仕組みです。(この記事読むまで、USB On To Goと間違えてましたわ~~汗)
サンワサプライ:
https://www.sanwa.co.jp/seihin_joho/otg/index.htmlお手持ちの端末がOTG対応かどうかは、機種品番で調べる以外に「USB OTG Checker」を使用する方法があります。
USB OTG Checker:
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.faitaujapon.otg&hl=ja動作する場合のスクショはこんな感じ。

TypeCコネクタを使用しているものは、基本OTG対応しているはずで、TypeC-TypeCが一番わかりやすい組み合わせです。ただし、TypeCは比較的新しい規格のため、対応USBマイクも値段がまだ高い傾向があります。変換コネクタはワンコインから買えますので、そちらを用いる方式でよいのではないでしょうか。私がこの記事を書くにあたり動作確認したのは、サンワサプライのプロフェッショナルUSBマイク
400-MC015PRO です。Xiaomi製Mi Mix3との組み合わせで、問題なく動作しました(iPhone使わずにこんなマニアックなスマホ使っているから、こんなに調べるはめになるんです・・)。
USBマイクの候補
他のマイク候補としては、価格と性能のバランスという意味では
マランツ社MPM-1000U と
オーディオテクニカ社AT2020USB+ が圧倒的なようです。ただし、圧倒的なコスパなだけあって、品不足気味です。在庫があるなら、あるいは気長に待てるなら、この2種類でしょうか。少し値段が上がった、サンワサプライ社の 400-MC015PRO は在庫がありましたので、私はこれを購入し使用しています。厳密に言うと、私がアンドロイド端末から動作確認したのはこのマイクだけとなりますのでご注意ください。原理的には、他のUSBマイクも動作するはずです。後述するXLRコネクタ仕様のものと、見た目も品番も似ていますので注文の際はくれぐれもご注意ください。
サンワサプライ 400-MC015PRO のお奨めポイント
私が実際に購入したサンワサプライの400-MC015PRO も、スマホで使うと言う観点ではかなりオススメです。マイク本体に様々な設定ボタンが搭載されていて、その場でマイク音を聞きながら調整までできてしまうところがかなりポイントです。
・指向性をスイッチで簡単切替
単一指向性/ 無指向性/ 双方向性/ ステレオの4モード。私はもっぱらステレオモードばかりですけれど。
・ダイレクトモニタリング機能搭載
マイク音声をパソコンを介さず直接ヘッドホンで試聴可能
・ヘッドホン音量/ マイク音量の調整ツマミあり
ダイレクトモニタリングと組み合わせると、直接録音状態を確認できるので、楽に録音環境を構築できます。本機種には他にもハイレゾ対応と言う謳い文句がありますけれど、これは入出力が非対称になっていて強みとしては少し中途半端。また、ASIOにも非対応なため、本格的なDTM用途としては完全に代替するには少し貧弱でしょう。しかし、そのあたりも理解した上で購入するのであれば、別に欠点と言うほどのものではありません。
400-MC015PRO での録音動画も公開していますので、良ければ視聴、チャンネル登録お願いします。2020年5月以降の自宅での録音は、基本400-MC015PROを使用しています(一部コンクールやコンサートの音源は除く)。
例)Tears in Heaven(E.Clapton, 佐藤弘和編):
https://youtu.be/K12bfpw96dkちなみに、フリーソフトのWaveSpectraを使って周波数特性ちらっと確認してみました。青色が400-MC015PRO、赤色がSurface Pro2の内蔵マイクです。暗環境ではなくクラシックギターでソルのエチュードを弾いてる瞬間ですが、中音域で20dBくらいはSN比が良化しています。これだけ差があるとヘッドホンで聞いたときにはしっかり差が分かりますね。特にステレオモードでは、立体感(奥行き感)も感じられるようになり、スマホとマイクだけの簡易環境としては個人的に満足です。ただ、やはりノイズが皆無とはいかないので、こだわるなら空調や暗騒音含めた総合的な環境作りをしないといけないな、と思います。

周波数特性的には400-MC015PROの方が高域が悪化しているようにも見えますけれど、実際に聞いてみるとそんなに気になりません。むしろ、中音域の音圧が不足する分、SurfacePro2の方がホワイトノイズが気になります。
②スマホ本体+ファンタム電源マイク+外部電源供給機器
マイクをUSB機器として接続するのでなく、音声機器として使用するパターンです。
構成図

メリット
・マイク単体の価格がUSB対応マイクよりも安い
・ファンタム電源マイクの在庫状況が、USB対応マイクより多少まし
・本格的なDTMに目覚めたとき、PC環境への転向が容易
デメリット
・オーディオインターフェースの選定が必要
・オーディオインターフェース用の電源/電池も必要
予算
・後述iXZを使うなら、全部で1万円~1万5000円程度
本構成なら、オーディオインターフェースは iXZ 一択ではなかろうか
この構成の弱点としては、「どうせオーディオインターフェース買うんなら、もうPC環境に移管しろよ・・」という呟きが聞こえるとか聞こえないとか。。いや、でもアンドロイドでいい画質の録画ができるんだもん!音声別撮りで後から編集するのとか大変だもん!そんなあなたに、安くてファンタム電源に対応する製品があるんです、
TASCAM社のiXZ。私がこの構成を残したのは、この機材を発見したからです。これ以外のインターフェースを購入するのなら、もうPC環境を構築した方が早いんじゃないかな。この製品も、販売店の売り文句的には「iPad iPhone iPod touch用」と書いていて、「Android」と書かれていないパターンが散見されます。けれど、CTIA対応なら別にAndroidだって動く(はず)。動かない理由がない。あ、4極ジャックにはCTIAとOMTPの仕様が混在していますけれど、iXZはCTIAですのでご注意ください。
4極プラグの注意点: サンワサプライ https://www.sanwa.co.jp/product/input/headset/index.html より引用

ファンタム電源マイクの候補
ファンタム電源を使用したマイクとしては、前述のマイクの無印品である、
マランツ社MPM-1000 と
オーディオテクニカ社AT2020 が評判が良いようです。それぞれ末尾の「U」および「USB+」がなくなり、キャノン(XLR)コネクタ仕様となります。USB I/F、A/D変換等を削除した分、コストは安くなる傾向にあります。前述のUSB接続仕様のものと、見た目も品番も似ていますので注文の際はくれぐれもご注意ください。
いったんオーディオインターフェースを安価に済ませつつ、将来的に少し良い製品に買い替えていきたい、、そんな方におススメできる構成です。iXZの弱点は、電池駆動なことでしょうか。単三電池二本で、公式では『約15時間、ファントム電流5.0mA時(EVOLTA)』となっています。本気で録音しだしたら、15時間って結構しょっちゅうな気がするんだよなぁ。
③スマホ本体+電源不要なマイク
メリット
・安価なマイク繋げるだけでよい
デメリット
・中途半端じゃない・・?
予算:3,000円以内でも選択肢あり
構成としては少し中途半端か・・?
まぁ、これもありっちゃありだけど、まぁどうなのかなぁと。。手軽さとしてはありですが、あまりお勧めしないので構成図も省略させていただきます。一応調べた限りでは、「
AT9913iS」とかは使えそうですけれど、4,000円程度はしそうです。これ以上安いものは、そもそもジャックの仕様が記載されていないこともあるので、あえて選んで購入するなら、少し予算を増やして選択肢①②から検討するのがよいのでは、と思います。ご購入の際には、スマホとマイクの端子がCTIAなのかOMTPなのかきちんと確認してください。このあたりの価格帯になると、ジャックの規格がかかれないものもあるので注意が必要です。
動画撮影アプリ"Open Camera"の設定
最後に、外部音声入力の設定を変更できるアプリ、"Open Camera"の設定方法を説明します。アプリのインストール、ビデオ設定⇒オーディオソースで「外部入力」を選択するだけです。これは、構成①USBマイクの際も、構成②③などオーディオ端子入力(CTIA入力)した際も、どちらでも同じです。
⓪アプリをインストール
下記リンクのGoogle Playからどうぞ。
https://play.google.com/store/apps/details?id=net.sourceforge.opencamera&hl=ja①インストールしたアプリを立ち上げ、設定(歯車)を選択
画面は愛用のSurface Pro2で本ブログを書いているところです。

②「ビデオ設定」を選択

③「オーディオソース」をタップし「外部マイク」を選択

④マイク入力のモノラル/ステレオに応じて、下記「オーディオチャンネル」設定も変更してください

どうでしょう、これで外部マイクを認識し動くようになったはずてす。アンドロイド端末で外部入力マイクを使い、快適な動画撮影ライフを楽しみましょう♪
演奏撮影時は、露出の固定を
Open Camera起動時は、露出の自動調整機能がオンになっています。撮影シーンの明るさに合わせて、自動でカメラの光取り込み量を調整してくれる非常に便利なサービスです。しかし、カメラも撮影場所も固定することが多い宅内録画撮影では、この機能は逆効果にもなります。少し太陽が陰った、と言った理由で露出が変更されると、結果として画面の明るさがパカパカ揺れるように見えてしまいますからね。
これを避けるためには、画面左下にある鍵(南京錠)マークを押してください。ここを押すと鍵マークが赤くなり、画面中央に「露出を固定しました」と表示されます。こうすれば露出が一定になるので、周辺の明るさ揺らぎに影響されずに宅内撮影ができますよ。
(いい撮影場所がないので、こっそり子供部屋を撮らせてもらいました。。)露出を固定した上で、やっぱりもっと明るい(or暗い)画面が撮りたい、というときは、鍵マークの1つ上の+/-マークを押せば露出の手動変更ができますので、こちらも併せてご活用ください。

オンライン飲み会の幹事必見!「SpatialChat」の無料プランおよび管理者権限に関して
コロナ禍で一気に普及が進んだオンラインコミュニケーションツールの一つとして、SpatialChatというユニークなサービスの提供が開始されています。2020年8月以降有料化されていますが、2020年12月現在、無料プラン(Free Plan)でもかなり使えるサービスとなっています...asao-guitar.com: SpatialChat紹介
2020/5 初投稿
2020/6/16 サンワサプライ 400-MC015PROの情報追記
2021/4/7 OpenCameraの露出固定に関して追記
- 関連記事
-
コメント
No title
とても分かりやすい説明、素晴らしいです!!オーディオ機器に全く疎く、苦しい思いをしてる身にとってはとてもありがたい情報を頂きました。ありがとうございます。
2020/11/17 17:43 by yukii URL 編集
Re: No title
2020/11/17 19:14 by あしゃお@管理人 URL 編集
管理人のみ閲覧できます
2022/06/16 10:42 by 編集
Re: とても参考になりました
400-MC015PRO本体にはMicroBコネクタが実装されていて、MicroB-TypeAのケーブルが付属します。そのため、サンワダイレクトの公式サイトでは出力がタイプAコネクタオス、と記載されています。
https://direct.sanwa.co.jp/ItemPage/400-MC015PRO
これをお手持ちのTypeCメスのデバイスと接続するには、オスTypeC-メスTypeAの変換コネクタが必要です。私が実際に使っているのは下記になります。全デバイスでの動作は保証できませんが、よろしければ参考にしてみてください。
https://item.rakuten.co.jp/shiningstar-kirara/0000219/
タイプC-タイプCに拘るなら、残念ながら別の製品の検討が必要ですね。素敵なギター&録音ライフを!!
2022/06/16 17:31 by あしゃお@管理人 URL 編集
管理人のみ閲覧できます
2022/07/03 12:56 by 編集
Re: 大変参考になりました
2022/07/03 16:33 by あしゃお@管理人 URL 編集