以下入選者(本選演奏順)
佐々木宣博:秋のソナチネ第1、3楽章(佐藤弘和)
金居秀治:マジョルカ(アルベニス)
渡部信一:ワルツ第3番(バリオス)
蔦尾和廣:皇帝の歌(ナルバエス)/マズルカショーロ(ヴィラ=ロボス)
先日、
第46回日本ギターコンクール観戦記にて、「トゥリーナやタンスマンは評価されやすいのでは」ということを書きました。その直後のコンクールで、まさにタンスマンとトゥリーナを演奏された松田さんが一位入賞されていて、思わず二度見しました(笑)。もちろん、こういった曲を選んだので優勝されたわけではないことは語るまでもないことであり、松田さんの演奏が素晴らしかった、というのがまず第一です。とはいうものの、曲をしっかり理解したうえで自分の音楽として表現できれば、それが客席や審査員に伝わりやすい曲をしっかり選ばれた、ということもまたある種の事実であるように思います。ただしそれは、曲の理解があまければその不十分さがバレてしまう、ということと背中合わせですけれども。
以前にとある重鎮のマスタークラスにて、サンバースト(A.ヨーク)を受講曲に選んだ方のレッスンを聴講したことがあります。そのときは、「サンバーストやコユンババをマスタークラスで持ってこられても、演奏に必要な技術が特殊すぎて何を指導していいかわからない」とその重鎮はおっしゃられていました。実際、その時の講義は「どういう曲がレッスンに向いているか」の説明で半分くらい過ぎてしまい、聞いている側としては勉強になるものの、決して安くないお金を払って受講されている方には少し気の毒な気もしたのを覚えています。。マスタークラスというのは定期的にレッスンを受けられる関係とは異なります。その特性上、「その人の5年10年先にも活きるように」「聴講生にも役に立つように」との観点が含まれるため、こういった話になったわけです。「マスタークラスで指導しにくい」ということと「コンクールで評価しにくい」は必ずしも一致はしないものの、コンクールの自由曲を選ぶ際に参考にしてもよい、頭にいれておきたい事柄かな、と思います。
さて、この全日本アマチュアギターコンクールは東京開催です。そのため、
関西を中心に活動している私は兵庫在住のあしゃおはお名前を存じない参加者がほとんどでした。それもあってか、自由曲にも知らない曲が散見されました。教室や発表会などの横の繋がりの特徴が、地域ごとに愛される曲に影響を与えているのかもしれませんね。そんな中、優勝された松田悠真さんは兵庫県からの遠征組、ということで密かに応援していました。実は松田さん、私の師匠の息子さんの教え子ということらしいんですよね(遠い)。同じ兵庫組、同じ一門と言うことで、またどこかで演奏を聞かせてもらえることを楽しみにしています。松田さん、その他のご入賞の方々、おめでとうございました。
クラシックギター愛好家向けのコンクールをまとめました。コンクールはプロを志す方にとって登竜門であるだけでなく、愛好家の方にとっても有効活用できるものであると思います。ここでは、いわゆる「職業的ギタリスト」を目的としない方でも挑戦しやすい、課題曲の負荷が量的/質的に少ないコンクールを中心に紹介をしています。...
※以下2019/8/31追記※
審査員の
坪川真理子先生のレポートが公開されました。いつも詳細な講評をお書き下さり、読むのを毎年楽しみにしています。全体が興味深いですが、特に2点挙げさせていただきます。
①ダイナミックレンジのある曲の方が評価しやすい
これは、私には少し残念な気もしますが、恐らく避けられない事実なのでしょう。
好きな曲を十全に弾く、というアプローチを私としてはしたいところですが、それが理由でこじんまりした演奏になるよりは、迫力やダイナミックレンジを伝えられる曲の方が結果としてアピールに繋がるのは、理解できます。
でも、それは高いレベルで争えた場合の最後のひと押しでしょうけれど。
②度忘れが散見された
これはすごく残念な事ですね。忘れないような準備とともに、忘れてしまった際にも止まらず弾き続ける練習も大切ですよ、と提言させていただきます。舞台上では、準備していなかったことはできない。そう思って、なるべく想定外のことが減らせるようにしましょう。
勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし。本番でたまたま上手く行った、集中力でいつも以上の力が発揮できた。そんなことがあればそれは嬉しいことです。しかし、それは成功体験と勘違いしないように。「練習していない、あるいは不十分なことなうまく行ってしまった」ら、それは不思議の勝ちなんだと考え、次負けないように準備怠らないことが必要ではないでしょうか。
緊張のメカニズムやそれに備える方法、舞台での心得など、労易くリターンの大きいメンタル系の記事をまとめました。 ...
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